東京が日本代表DF森重真人(28)の公式戦2試合連続となる「置き土産マルチ弾」で、E組首位に立った。前半30分の右足ミドルに続き、後半38分には右CKを右足で合わせて2得点。アウェーながら、2-1で江蘇(中国)を破った。J1名古屋戦(2日)でも2発決めているが、いずれも次節出場停止処分となる置き土産となった。

 豪華な置き土産を、アウェーの地で残した。主役はセンターバックの森重。まずは前半30分、左CKからのこぼれ球に右足の膝から下を振り切った。針に糸を通すような軌道で先制点が吸い込まれた。さらに1-1で迎えた後半38分の右CK。MF米本から江蘇DFの虚を突くマイナス方向へのボールを、右足の甲でコンパクトに合わせた。DFにして高いキックの技術が凝縮された2発だった。

 アウェーの洗礼で一時は漂った嫌なムードを振り払った。1点リードの前半34分に不可解判定でPKを献上。主審に猛抗議をする選手たちを制し、冷静に両手でガードしたのが主将・森重だった。試合後「チームが勝てたことが一番うれしい。アウェーで勝利を挙げられたこと大きい」と喜び、E組首位浮上。しかも、昨オフ100億円以上の資金でブラジル人トリオを獲得した爆買い軍団に今大会初黒星をつけた。しかし、次節その主将の姿はない。

 後半16分に警告を受けたため、累積により次節ホーム全北戦(20日)は出場停止。同様に2点決めた名古屋戦でも退場し、J1柏戦(10日)も出場停止処分を受けるため、公式戦2試合連続の置き土産マルチ弾。それも勝利のために戦ったからだ。南京での宿舎では日本食のオーダーを拒否されたが「食べたいものを食べられないのはストレス。でも2、3日の我慢。気にしない」と意に介さない。負の要素は頭の中から取り払い、やるべきことをやり通した結果だった。

 ◆DFの2試合連続2発 ACLでJリーグのDF登録選手が1試合2得点は、03年の高木和道(清水)04年の栗原勇蔵(横浜)14年の山下達也(C大阪)に次いで4人目。過去3人のその前後の公式戦を見ると、いずれも無得点だった。今回の森重のように、DF登録選手がリーグ戦とACLの公式戦で2試合連続2得点は初のケースとなる。