2点差を追い付く、価値あるドローだ。J2札幌は千葉に2-2で引き分けた。前半20分までに2失点も、同38分にFW内村圭宏(31)の4試合連続得点で1点差に詰め、後半27分に途中出場FWヘイス(26)のJ初得点で追い付いた。4月23日C大阪戦からの連勝は6で止まるも、札幌ドーム不敗を13試合に伸ばした。15試合で10勝3分け2敗、勝ち点33。2位町田に勝ち点差2に詰められたが、首位をキープした。

 ついにヘイスにもスイッチが入った。後半25分に内村に代わり途中出場すると同27分、石井からの浮き球パスをハーフウエーライン手前で受けると、右足でトラップし、反転しながら相手選手をかわした。瞬時に都倉の位置を察知し左へ展開すると、一目散にゴール前まで走った。

 「とにかくがむしゃらに。気持ちの面を出した」。左サイドを突破する都倉に合わせ、左サイドから斜めに約45メートル、猛然とダッシュし、ゴール前ではDF阿部をはじき飛ばすように、強引に体をねじ込み左足で流し込んだ。「ちょっとだけチームに貢献できた」。MFジュリーニョが既に3点、マセードは出場3戦連続アシストと結果を出す中、開幕2カ月で、ようやく11番のエンジンがかかった。

 06年に18歳でオランダ名門PSVに移籍した点取り屋も、ベストコンディションに上げるには時間がかかった。10年に右膝の複雑骨折と靱帯(じん帯)断裂の大けがを負い、沖縄キャンプ中は右膝をひきずるように走っていた。「すべてスタッフのおかげさ。この環境をくれたクラブに本当に感謝だよ」。昨季、トルコ2部クラブでプレーした当時は、リハビリ専門スタッフはいなかった。札幌では理学療法士のセウソ氏がマンツーマンで、右膝回りの強化メニューを考案し、弱っていた膝に力を与えた。

 負のジンクスも打破した。札幌の外国人11番は5人目。得点したアンデルソン、ジオゴは、いずれも7戦目までに初得点しており、それ以外の選手は、無得点のままシーズン途中で他クラブへ移籍している。外国人11番の出場8戦目での初得点は最も遅いが、状態さえ上がれば期待は高まる。「これを機にもっともっと点を取って昇格に貢献したい」。好調内村に続き、また1人、頼れるストライカーが、目を覚ました。【永野高輔】