新潟が今季のリーグ戦ホーム初勝利を挙げた。1-0で大宮を下し、第5節福岡戦(4月2日)以来、70日ぶりのリーグ戦白星を収めた。前半4分、今季リーグ戦初スタメンのMF成岡翔(32)の今季初得点で先制し、GK守田達弥(25)を中心にしぶとく守り抜いた。

 涙が止まらなかった。試合後、マンオブザマッチに選ばれたMF成岡は、お立ち台に向かうカートに乗りながら何度もあふれるものをぬぐった。

 ゴール裏のサポーターの「成岡コール」がうれしかった。「自分たちは新潟のスポーツ界の代表。ピッチに立てない仲間たちのためにも、その誇りを持たなければならない。そう思ったら込み上げてきて…」。ようやく挙げたホーム初勝利。それも自分のゴールで引き寄せた。プロ14年目のベテランは「あまり記憶にない」というほど、感情をたかぶらせた。

 ワンチャンスをものにした。前半4分、MF端山豪(23)が右サイドを突破し、クロスを入れる。「豪がマイボールにした時点でゴール前に走ろうと思った」。正面に走ると、転げ込むように右足で押し込んだ。

 「ゴールは狙っていた」と言う。これが今季初のリーグ戦のスタメンだ。ここまでリーグ戦はわずか2試合、計50分の出場。開幕前は左膝の故障で出遅れた。15試合中ベンチ外が10試合。背水の陣。不安はあった。ただひたすら「うまくなりたい一心」で練習を重ねた。「ゴールを奪うセンスはうちではピカイチ」。吉田達磨監督(42)が一目置く能力を、チームが勝ちたい試合で発揮した。

 選手入場時、ゴール裏のスタンドに人文字が浮かび上がった。「GET the WIN!」。リーグ戦のホーム白星は昨季セカンドステージ第14節松本戦(10月17日、2-0)までさかのぼる。238日ぶりにサポーターの思いに応えた。「これをきっかけにいい流れをつくりたい」。成岡は自身とチームの浮上を重ね合わせた。【斎藤慎一郎】