B組の仙台レディースが、リーグ戦も含めて今季初めて首位に立った。前節まで同組1位の浦和にホームで2-0と快勝して、勝ち点を7に伸ばした。中野真奈美(29)が前半14分に先制、主将の嘉数飛鳥(27)が後半9分に追加点と、サイドハーフの2人がそろって待望の初ゴール。アシストなど得点に絡むプレーが主な仕事の“脇役”の活躍で、総合力の高さを示した。

 嘉数が一目散に仙台Lのベンチに駆け寄った。追加点を奪った後半9分。「全員で戦っていますし、私も初ゴールだったので」。主将でも調子が悪ければスタメンを外され、今季は4試合ベンチスタート。危機感を背負う中で、勝利をたぐり寄せた。千葉泰伸監督(45)は「苦しんでいる彼女が取ったことで、チームが一丸になれる」と喜んだ。

 前節の岡山湯郷戦では、なでしこジャパンDF佐々木繭(23)の出番がなかった。調子のいい選手を積極的に起用し、チーム内に競争意識を植え付ける千葉監督の狙い。先制点の中野はリーグ戦と合わせて、全14試合に先発出場を続ける不動の左サイドハーフだが「結果を残したいという思いが強かった」と言い「危機感? それは常にある」と付け加えた。

 ここまでの全21得点の最多は、FW有町紗央里(27)とMF川村優理(27)の4得点。1人が突出せずに8人が記録する。この日はMF2人が決めた。嘉数は「誰が出ても選手層は厚くなっている。いい刺激になっている」と話す。千葉監督が推し進めてきた総合力の高さが、シーズン中盤にはっきりと表れてきた。

 今季初めて首位に立ったが、3連勝以上は1度もなく、千葉監督は「流れに乗り切れない」とまだ課題はある。2勝1分け4敗と、分が悪いアウェー戦が次節から2試合続く。初タイトル獲得へ、真価が問われる7月を迎える。【久野朗】