21世紀生まれのJリーガーが誕生する! サッカーJ1東京のU-18(18歳以下)に所属するFW久保建英(たけふさ、15)が、トップチームに選手登録されることが12日、分かった。東京が今月16日までに登録する方針を固めたもので、スペインの名門バルセロナの下部組織でプレーした20年東京五輪のスター候補が、早くもJリーグの舞台に立つ可能性が高まった。出場となれば04年3月の森本貴幸(東京V)以来の中学生選手で、01年以降の生まれでは初めてとなる。

 今季終盤戦を迎えるJリーグに明るい話題が舞い込んできた。東京U-18に所属する久保が、トップチームに登録されることが分かった。Jリーグ関係者は「その方向で準備しているようだ」と明らかにし、すでに本人と親に通達済みの模様。16日までに登録を完了する。J1での出場は可能だが、まずはセカンドチームの東京U-23としてJ3で起用される見通し。東京五輪のスター候補が、中学生にしてJリーグの舞台に立つことになった。

 中学3年生ながら、今季から飛び級で高校生年代のU-18に昇格した。体格差を感じさせないプレーで、高校年代最高峰の高円宮杯プレミアリーグに出場。8月には日本クラブユース選手権で得点王に輝き、日本一に貢献した。バルセロナの下部組織に所属していた久保は、クラブが18歳未満の外国人選手獲得に登録違反があったとされ、公式戦出場ができなくなったため、昨年5月に東京U-15むさしに加入。18歳になればバルセロナに呼び戻される可能性がある逸材で、着実に成長している久保に対し「育成クラブ」を自負する東京も英才教育を施す。

 今季発足した東京U-23には、下部組織から15人が登録され13人が出場した。夏以降、進路先が決まった高校3年の選手たちに代わって下の学年の選手を積極的に育成する方針で、久保の名前が浮上。今季Jリーグの登録期限は16日が最後となるため、このタイミングで決断したようだ。U-23の監督は元日本代表DF中村忠氏が務めており、昨季は東京U-15むさし監督として久保を指導。プレーの特徴や性格を把握しておりスムーズに移行できる。

 4年後の東京五輪では19歳。攻撃の核として期待される。現在はU-16日本代表としてU-16アジア選手権出場のため、インドへ遠征中。U-17W杯出場権をかけて決勝までいけば、10月初旬まで滞在する予定。帰国後、早ければ10月16日富山戦でデビューする可能性がある。そうなれば15歳4カ月12日、初めて21世紀生まれのJリーガーが誕生。さらには森本を上回る来年3月のJ1デビュー最年少記録へと、15歳の夢は広がるばかりだ。

 ◆久保建英(くぼ・たけふさ)2001年(平13)6月4日、川崎市生まれ。小学2年だった09年11月、川崎Fジュニアのセレクションに合格。11年4月の入団テストを経て同年9月にバルセロナの下部組織に入団。15年5月に東京U-15むさしに加入。今季東京U-18に飛び級昇格。167センチ、60キロ。

 ◆Jクラブ下部組織選手の登録 プロ契約選手でなくても、高校生(2種)でトップチーム登録すれば出場可能。ユースなど下部組織の選手は、そのクラブの2種登録選手としてトップでプレーできる。しかし中学生の登録は異例。高校や大学に所属する選手は、特別指定選手として日本サッカー協会(JFA)承認のもと、受け入れ先となったクラブでプレーが可能。あくまでもアマチュア選手でプロ契約ではないため、給料は発生しない。

 ◆Jリーグの年少出場記録 J1ではFW森本の15歳10カ月6日が最年少記録。04年3月13日の磐田とのシーズン開幕戦で途中出場した。当時中学3年で、15歳以下でJ1リーグ戦に出場したのも過去に森本だけ。J1の最年少ゴール記録も森本で15歳11カ月28日。J2、J3、ルヴァン杯(旧ナビスコ杯)を含めても、15歳以下でJリーグの公式戦に出場したのは過去に森本だけとなっている。