仙台はアウェーで甲府と対戦し、1-1で引き分けた。前半24分に失点も、同37分に、初先発出場のFW西村拓真(19)のプロ初ゴールで同点に追いついた。勝ち越すことはできず4戦未勝利とはなったが、19歳の一撃で連敗を3でストップした。

 持ってる男だ。西村が豪快なヘディングで、初ゴールを決めた。「おとといからめっちゃ緊張していて試合直前は(足が)ガクガク」。それでも貴重な1発を決め、チームを4連敗の危機から救った。

 西村は富山第一高から昨季入団したレフティーFW。開幕スタメン入りした同期MF茂木駿佑(19)に比べればスタメンデビューこそ遅れたが、ようやく第1号をマークした。「僕が今日の初ゴールを決めるにあたり、たくさんの人に支えてもらった。感謝したい」とにっこり。クラブ史上では、初先発初得点の最年少記録を更新した(J1に限る)。

 どんぴしゃヘッドは前半37分に生まれた。左サイド、DF石川直樹(31)からのクロスに「素晴らしい位置取り」(渡辺監督)で構えていた。西村は「3バックの間で待っていたら(良いボールが)来た」と狙い通りで「練習で積み上げたものがやっと出せてうれしい」と胸をなでおろした。

 この喜びを真っ先に伝えたい! 得点直後のパフォーマンス、両手で数字の「8」を作りガッツポーズをしてみせた。これは、師と仰ぐMF野沢拓也(35=負傷離脱中)へ贈る感謝の思いだ。「タクさん(野沢)はチャンピオン経験もあるし、もっとやれって指導してくれているので」。幾度も優勝を経験しているベテランからは今春キャンプで1対1で指導を受けることもあった。「いつも『満足せず、うぬぼれず、やり続けろ』と言ってもらっているので結果を出したかった」。

 大きな仕事を果たしたが満足はしない。渡辺監督は「難易度の高いゴールをねじ込み成長の形を見せた」と称賛。しかし、ここからレギュラー争いに名乗りを上げる19歳は「もっと点を取り続けて今度はチームを勝たせたい」と先を見た。西村は貪欲にゴールを狙い続ける。【成田光季】