川崎Fは12日、12年4月から指揮を執ってきた風間八宏監督(54)が今季限りで退任すると発表した。

 風間監督はこの日の練習後、「5年という歳月の中で、自分の中の頭をもう1度、はっきりクリアにしたいなということもあった。(今季は)成績がどうであれ、初めからそういう風になると思った」と心境を話した。クラブと来季の話し合いをした上で、風間監督の意向を受け来季の契約を更新しないことを決めた。

 風間監督は就任直後から基本技術の徹底と向上を掲げ、パススピードと正確性を武器にJ屈指の攻撃サッ

カーを構築した。現在、チームは年間勝ち点2位でクラブ史上初のタイトルに近づき、観客動員数も1試合平均2万1000人を超え過去最高を記録している。「選手が、それだけのことを吸収して表現してくれて、サポーターとともに喜び合う姿を彼らがどんどんつくっていった」と愛弟子たちの奮闘に目を細めた。

 これまで桐蔭横浜大、筑波大、川崎Fの監督など、先方から届いたオファーの情熱を感じた上で進むべき道を選んできた。「今までは、自分が選んだというより、選んでもらっている」と振り返り、今後については「やろうと思うことはなくもないけど具体的には考えてない」と話すに留めた。

 リーグ戦は残り3試合だが、チャンピオンシップ、天皇杯と続く。指揮官は「残り何試合になるか分からないけど、サポーターに、2度と見られないよ、という試合をみせてやりたいなと」と意欲を見せた。後任は未定だが、クラブは風間監督が築いた「攻撃サッカー」を継承する人材を選ぶ意向を示している。