YBCルヴァン杯決勝が今日15日、埼玉スタジアムで行われる。タイトルを争う浦和とG大阪の「因縁」は、1日のリーグ戦でも生まれていた。決勝の舞台と同じ埼玉で浦和が4-0と大勝したが、試合中に浦和MF阿部勇樹(35)がG大阪MF遠藤保仁(36)に背中を蹴られた形になり、11日に肋骨(ろっこつ)骨折が判明した。両主将も激しくぶつかり合った一戦から2週間。ナビスコ杯から改称後最初の王者を目指し、再び激突する。

 「蹴るな。踏むな」。大敗のショックも癒えぬ遠藤の前に、険しい表情の長谷川監督が立っていた。0-4と大敗した翌2日。副主将のMF倉田とともに呼び出され、前日のプレーに関して説教された。遠藤が倒れた阿部の背中を蹴る形になった。その後、肋骨骨折が分かった。FWアデミウソンは乱暴な行為で一発退場。転倒した浦和DF槙野の背中を倉田が踏んでしまうシーンもあった。

 故意ではないとはいえ、指揮官は見逃すことはできなかった。ある選手は「監督がヤットさん(遠藤)を怒るところは見たことない」というが、すぐに動いた。「イライラが募ると、故意でなくても過剰な行動として態度に出てしまう。メンタルのタフさが必要だと思う」。長谷川監督は説教の理由をこう説明した。

 昨年の広島とのチャンピオンシップ決勝第1戦で、苦い思いを味わっていた。2-1とリードの終盤に、DFオ・ジェソクが相手ともめて一発退場。そこから2失点し、逆転負けした。失敗を繰り返さないためにも素早く一手を打った。

 熱くなりがちな大一番でいかに冷静に戦えるか。タイトルを獲得するために、精神面がどれだけ重要か。「俺がちゃんとせなあかん」と倉田に自覚が芽生えたように、2人を通してチームに伝わったはずだ。

 14日の前日会見で、長谷川監督は言った。「策はない。持てる力を全て出して、ガンバのプライドを懸けて必死に戦っていきたい」。2年ぶりの頂点へ、あとはピッチで結果を出すだけだ。【小杉舞】

 ◆ルヴァン杯 今年6月にナビスコ杯から改称されたJリーグのカップ戦。決勝トーナメントは1次リーグ突破の4チームとACL出場4チームの計8チーム。準々決勝と準決勝はホームアンドアウェー方式で、2試合の勝利数が多いチームが勝者となる。決勝は1試合のみ開催。