横浜がまたも劇的ゴールで3大会ぶりに準決勝に進んだ。1-1で後半ロスタイムに突入。目安の6分間が終わる間際、MF天野純(25)がペナルティーエリア手前やや左から左足でゴール右へ突き刺した。「トラップも完璧だった」と迷いなく放った無回転シュートにGKは1歩も動けず。4回戦の新潟戦に続く後半ロスタイムの決勝弾だった。

 天野は今季終盤での仕事ぶりを「試合に出続けて、最後までパワーを持てるようになった」と自己分析。もともとは、モンバエルツ監督が重視する守備は苦手分野だった。「まずはそこで貢献してから強みを出そう」と、練習から体を張ってアピールした。リーグ戦の出場は入団した14年はゼロも、15年は6試合、今年は11試合に増えた。ゴールに関わらない地道なプレーが、土壇場で強さを発揮するスタミナ源になった。

 準決勝は横浜の鬼門。92年度以降、天皇杯は6度のうち4度、ルヴァン杯(旧ナビスコ杯)は9度のうち8度敗れた。次戦はクラブW杯決勝でRマドリードに善戦した鹿島。DF中沢は「鹿島に勝って世界1位…いや、1・5位ですね」と、冗談交じりにジンクス打破を誓った。堅守の横浜に、天野の左足という心強い武器が加わった。【岡崎悠利】