夏の全国高校総体覇者の市船橋(千葉)が、U-19(19歳以下)日本代表FW岩崎悠人(3年)擁する京都橘に1-0で競り勝ち、夏冬連覇へ好スタートを切った。

 市船橋はセンターバックのDF杉岡大暉(3年)と原輝綺(3年)、ボランチのMF高宇洋(こう・たかひろ、3年)と金子大毅(3年)が複数で岩崎を取り囲み徹底マーク。前半34分には、金子が岩崎と体勢を入れ替わられ、ポスト直撃のシュートを浴びた。金子は「4人がかりでも突破されて、(岩崎は)化け物だった」と脱帽した。だが、逆に大ピンチから、守備の間合いを詰めるタイミングを学び、後半は岩崎をシュート1本に抑え、金子は「修正できて後半は抑えられた」と胸を張った。

 攻撃時には、センターバックの杉岡と原がワイドに開き、ボランチの金子が最終ライン中央に落ちる。好機と見れば、杉岡と原が果敢に高い位置に上がり、サイドバックのような攻撃を見せるのが、今年の市船橋の強さだ。それも、守備面でいち早く危険を察知し、カバーに入る金子の「気配り」が大きい。味方のパスミスにいち早く反応し、ピンチの芽をつみ、相手にしつこくプレスをかけ続けた。後半26分のDF杉山弾斗(2年)のFK弾も、金子のボール奪取が起点だった。既に複数のJクラブから関心を寄せられている。

 朝岡隆蔵監督から「何を考えてるか分からない宇宙人」と評される金子は、常にひょうひょうとしポーカーフェースだが、危険時には真っ先に激しくボールに寄せる。当の金子は「監督がそんなに気に懸けてくれるとは…。最近は、宇宙人でなく、人間になってきたといわれてるんですけど」とユニークなコメントで返す。岩崎に振り切られて大ピンチを招いても、「もう2度とやらせない」と試合中に切り替え、完封に導いた。杉岡と原、高のJ内定者3人に加え、金子の存在も市船橋の大きな柱だ。【岩田千代巳】