J2山形は10日、天童市内で新加入選手12人の会見を行い、愛媛から完全移籍で加入したGK児玉剛(29)が、いきなり強烈なインパクトを残した。自己紹介では15日解禁の背番号をフライングして自ら明かして、つかみはOK。出身の大阪仕込みの軽快な話術で会場の笑いを誘った。プレーでは安定した守備力と、攻撃の起点となるビルドアップ能力が高いと評判だ。守れる、蹴られる、話せるの3拍子そろった新守護神が、山形を守る!

 「愛媛から来ました、背番号1の児玉剛です…」。トップバッターで新守護神が自己紹介を始めた途端、約100人のサポーターが集まった会場がどよめいた。新背番号発表は15日解禁と知らされておらず、児玉の自己紹介にサポーターは拍手喝采だった。動揺を隠しながらも「山形のJ1昇格、定着に向けて全力で努力します」と胸を張って宣言し、締めくくった。

 2年半チームを支えたGK山岸範宏(38)がJ3北九州に移籍した。「山の神」が背負った背番号1を任される意味は重い。児玉は神妙な面持ちで「すごい偉大な人やし、山岸さんのような存在になれるか分からないけど、僕は僕なりに山形の守護神となってゴールを守り続けたい。違った味を出していきたい」と意気込んだ。

 鉄壁のシュートストップと広い守備範囲に加え、正確なフィードが最大の強みだ。「後ろからビルドアップできる強みを出していきたい。今の時代のGKは守れるだけでは駄目」。木山隆之監督(44)が「DFからの前線へのつなぎ」を重視しているだけに、適役と言える。

 愛媛でもムードメーカーを務めており、おとなしい選手が多い山形でも盛り上げ役を買って出る。「ネタはいっぱいあるけど、まだ駄目ですね。ここでは早い」と一時封印。今後は関西弁で繰り出される「児玉節」にも注目が集まる。愛媛では「みかん1個通さない守護神」で鳴らした。山形では「さくらんぼ1個通さない」壁として、立ちはだかる。【高橋洋平】

 ◆児玉剛(こだま・つよし)1987年(昭62)12月28日、大阪府吹田市生まれ。G大阪の下部組織でサッカーを始め、京都ユース(現京都U-18)を経て関大へ。10年に京都へ入団し14年に愛媛へ完全移籍。J2通算123試合出場。183センチ、78キロ。利き足は右。