それでも勝った。もともと守備は計算できる。日本代表の森重、丸山、太田にリオ五輪代表の室屋が固める4バック。そこに代表候補GK林が加わり、後半32分の相手CKではビッグセーブでチームを救った。半面、大型補強で昨季開幕戦から8ポジションが入れ替わっている。「攻撃はゼロに等しい」と大久保嘉がぶった切るレベルの連係。だが「ミスしても『OK』で終わっていたチームが、高いレベルを求める嘉人さんの加入で厳しくなった」(MF河野)。エース不発でも、物足りなくても勝つ集団に変わろうとしている。

 開幕前には前田、石川の35歳コンビの“おごり”で決起集会を開いたが、まだ意思疎通が足りないと月1回開催プランも出るほど。その状態で6年ぶりに本拠で大宮に勝ち、開幕鹿島戦の10年ぶり敵地勝利に続いて鬼門を連破した。都民とともに、伸びしろに期待する小池百合子都知事からは青赤のユニホーム姿で激励された。背番号は「1st」。都民ファーストを意味するが、1位への願いもある。森重は「まだ弱い。1年間かけて東京のイメージを覆したい」。暫定首位は逃したが、初のリーグ制覇へ、おぼろげながらも今年の首都クラブはどこか違うと印象づけた。【木下淳】

 ▼東京の開幕2連勝 J1では13年の2連勝(2-1、3-0)以来、クラブ4年ぶり5度目。今季は1-0、2-0と2試合連続無失点。05年に4-0、0-0と引き分けを含めて2試合連続無失点はあったが、今回のように開幕2試合連続完封勝ちは、昇格1年目の00年(1-0、2-0)以来、17年ぶり2度目。