2連覇を狙う鹿島アントラーズは、DF植田直通(22)が反撃の口火を切るゴールを挙げ、終盤の11分間で3得点を奪って3-2と清水エスパルスに逆転勝ちした。

 植田に笑顔はなかった。0-2の後半29分、MF遠藤のFKから頭で押し込んだ。右手を突き上げたが、守備位置に戻りながら気合の入った表情は変わらない。11分間で3得点の大逆転の口火を切った22歳は「絶対に取り返してやる」と、得点の好機を待っていた。

 前半41分、先制点を献上するミスを犯した。ゴール前で蹴ったボールが相手に当たってこぼれた。直後にぬれたピッチですべって転び、失点した。「水をまくと聞いていたので、もっと気をつけないといけなかった」。後半途中までリードを許す展開となった責任を痛感していた。

 ミスを帳消しにする1発はリーグ戦では2季ぶりの通算2得点目。だが、14日のACLのブリスベン戦に続いて公式戦では2戦連発だ。居残り練習で186センチの高さに磨きをかけ、DFとの駆け引きも巧みになってきた。「コツをつかんだ。今年は(得点を)かなり取れるかなと思う」と自信を見せた。

 試合後にはUAEに向かうため、チームとは別行動でスタジアムを出た。「勝って代表に行けるのはいいこと。戦いに向けて準備したい」。視線は既に次へ向いていた。【保坂恭子】