J2モンテディオ山形が奇襲作戦で、名古屋グランパスから価値ある勝ち点1を奪った。前半からGKを起点にショートパスで攻め上がる相手の出ばなをくじいた。3トップが両サイドに開く相手センターバックをマーク。パスの出しどころを失ったベテランGK楢崎正剛(41)の動揺を誘った。放ったシュートは名古屋の倍となる14本。ゴールは奪えなかったが、強豪を相手に主導権を握った。

 前半、立ち上がりの相手GKからのリスタート。いきなりFW中山仁斗(25)、MF汰木康也(21)、MF瀬沼正和(26)の3人が見透かしたように極端に高い位置にポジションを取った。どこにボールを預けようか戸惑う楢崎。その動揺はすかさずフィールドプレーヤーにも伝染した。

 汰木 キーパーはつなげなくて困っていたし嫌な顔もしていた。無理やり蹴ってくるしかなかった。スカウティングで弱点はわかっていたので。

 相手のパスミスを誘い高い位置でボールを奪うと何度もゴールに迫った。試合後、風間八宏監督(55)は「あまりいってしまうと…。楢崎の判断なので…」と言葉を濁した。筑波大の大先輩との初対戦となった木山隆之監督(45)は「ゴールキックでもしっかりつないでくる。そこを遮断していこうと。圧力はかかったのかな思う」。スコアレスドローながら攻めの采配が光った好ゲームだった。