V・ファーレン長崎FW中村慶太(23)が、出場停止のスペイン人FWファンマの代わりに1トップに入り、3戦ぶりのゴールを決めた。

 先制を許した5分後の後半18分、相手DFのボールをカットすると、そのまま前進し、右足を振り抜いた。「高い位置からうまくボールを奪えて、前にスペースがあった。ここで打てばGKのタイミングを外せると思った。インフロントで蹴って、うまくゴール右上に入ってくれた」と笑みを浮かべた。

 この日は、筆頭株主ジャパネットホールディングスの創業者で、クラブの経営危機発覚後の4月25日に社長に就任した、高田明社長(68)がアウェーながら駆けつけ、応援にきた同社の社員50人をスタジアムで出迎えた。中村は試合後、そのことを伝え聞くと「そうなんですか? そういった姿勢を選手に見せてくれると、モチベーションが上がります。本当に支えられていると思います」と喜び、感謝した。

 3月にクラブの経営難が発覚後、高木監督から選手には「会社のことは気にしないで、選手はサッカーだけを頑張ってくれ」と声がかかり、選手はサッカーに集中していたという。その中、就任した高田社長は、「選手1人、1人から話を聞く」と選手に声をかけたという。同社長は時間がある時は練習場にも足を運び、選手にもあいさつし、気に懸けてくれるという。

 高田社長が就任するまでの9戦は、5勝1分け4敗で、就任の直近は3連敗を喫していた。それが社長就任発表後の8試合は、4勝3分け1敗と成績も上向きだ。中村は「(高田社長は)すごい人間性の持ち主。(クラブの経営面で)支援していただいているし、選手の前で形も見せてくれている。選手1人1人は、勝ちたい欲が、もっと上がると思うし、やる気になる。(社長がクラブに)入って、成績が上がっているのは事実」と笑みを浮かべた。

 この日の自身のゴールで、長崎のJ2通算ゴールは199となり、11日のホーム・ロアッソ熊本戦に通算200ゴールが懸かる。中村は「ホームで取った方が、サポーターの記憶には残る。狙っていきたいし、それ以前にチームの勝利を最優先にしたい。出来れば決めたいけれど、誰が取っても喜べると思う」と笑みを浮かべた。【村上幸将】