左膝軟骨損傷で過去2シーズン、戦列を離れていた、町田ゼルビアMF戸高弘貴(25)が、復帰3戦目となった愛媛FC戦で後半17分に途中出場し、復帰後最長の28分間、プレーした。

 この日は1点をリードした段階で投入された。相馬直樹監督から「前(愛媛陣内)で時間をつくれ」と指示を受け、最初はFW、途中から左MFにポジションを移し、積極的に仕掛けてピッチを駆け回った。ただ得点はならず、出場後、チームは2失点して逆転負け。

 「点を取って、ゲームを決めるのが監督の狙いだったと思う。結果的に、そうはならなかったので力が足りなかった。今日は、いつもよりプレー時間が長かったので、ある程度、ゲームに入ることが出来た」と振り返った。

 ケガからの復帰にあたり、励みになっている存在がいる。立命大時代の先輩で、ブルガリア1部ベロエ・スタザゴラでプレーし、日本代表に初招集されたMF加藤恒平(27)だ。大学時代には、海外に挑戦に興味があり、既に海外でプレーしていた加藤に話を聞いてもらったこともあったという。

 戸高は14年、加藤がアルゼンチンでのプロ契約が出来ず、12年にプロのキャリアをスタートし、1シーズン、プレーした町田に加入した。

 ところが同12月に左膝関節軟骨損傷で手術も、翌15年7月に再手術を余儀なくされ、2シーズンを棒に振った。

 加藤が海外での戦いを続ける中、疎遠になっていたが、今季、ベンチ入りし出すと、町田の唐井直GMを通じ、加藤が自分のことを気に懸けてくれていることを知った。その加藤が代表にまで上り詰めた。

 「刺激にも励みにもなります。でも、あそこまで上り詰めちゃうと、連絡が取れないです」と苦笑した。その上で「目標、夢をかなえた先輩から、夢をもらっています」と言い、敗戦にも前を向いた。【村上幸将】