清水エスパルスとジュビロ磐田が、ホームでそろって勝利した。清水はヴァンフォーレ甲府に1-0で10戦ぶりの白星。後半15分、DF二見宏志(25)が先制点を決め、J1ではホーム約2年1カ月ぶりの勝利をもたらした。

 待ちに待った瞬間が、アイスタに訪れた。ロスタイム5分まで戦いきり、試合終了の笛が響いた。歓声に包まれる中、二見は雄たけびをあげ、FW鄭大世(33)は突っ伏した。15年5月30日川崎F戦(5-2)以来757日ぶりのJ1でのホーム勝利。鄭は「苦しかった。長かった。前半戦で勝てて良かった」と話した。

 後半15分、FWチアゴ・アウベス(24)の左CKから、こぼれ球を二見が角度のないところから、利き足ではない右足を振り抜いた。本職は左サイドバック。阪南大時代には、国内外のクラブから注目された逸材だが、プロ入り後は出場機会に恵まれなかった。左サイドバックで勝負したい気持ちはあるが、「プロである以上、試合に出たい」。仙台時代の14年以来となるプロ2得点目で、清水では初得点が決勝点になった。「完封もうれしい。一致団結して、最後まで集中力を切らさずに戦えた」。

 二見の強い対人を見いだし、センターバックにコンバートした小林伸二監督(56)は、J1J2通算200勝を達成した。01年に大分の監督に就任して以来、07年を除き16季にわたって指揮官を務める「昇格請負人」の勝利数は歴代4位。午前3時に起床し、対戦相手の映像を見て分析することもある。コンディションを心配し、練習を終えて帰宅した選手に電話をかけて状態の確認をするなど、細かな配慮を欠かさない。「長くやって、良い経験をさせてもらっている。みんなの力で、やらせてもらってます」。リーグ10戦ぶりの勝利を上昇のきっかけにする決意だ。【保坂恭子】

 ◆清水、磐田のホーム同時白星 J1では12年3月31日開催の第4節以来、約5年3カ月ぶり。当日、清水は札幌に1-0、磐田は柏に1-0で勝利した。