鹿島アントラーズが3-0でヴァンフォーレ甲府に勝ち、首位C大阪に勝ち点1差に迫った。大岩剛監督(45)は就任後7戦負けなしで、15年の石井監督の途中就任後6連勝を上回るクラブ記録となった。後半に3得点を奪う快勝も、終盤に簡単なミスで失点の危機をつくったDF昌子源(24)に対し、試合後のロッカールームでカミナリを落とした。国内20冠目に向け、勝ってかぶとの緒を締めた。

 鹿島の大岩監督が、言葉の力で7戦無敗を導いた。ハーフタイムにはピッチで練習する控え選手も呼び戻して「ゴール前の崩しは、もう少しシンプルに動き出した選手を使おう」と意思統一。攻めあぐねた前半から一転、後半開始1分にFW金崎が先制、同17分にFW鈴木が右足ボレーで加点。同45分には高卒新人FW安部が巧みな足技でGKをかわしてリーグ戦初得点を奪った。指揮官は「(金崎)夢生に加えて、代わりに入った若い選手が活性化してくれた」とたたえた。

 だが、試合後のロッカールームでは鬼と化した。主将マークを巻いた日本代表DF昌子に対し「お前の今日のプレーはキャプテンにふさわしくなかった。交代させようと思って、そのために枠を1つ残した。出られなかった(小笠原)満男や(遠藤)康に申し訳なく思え」。2-0の後半33分、相手FWドゥドゥにボールを奪われGKと1対1となった場面に怒号を飛ばした。曽ケ端の好セーブに救われたが、流れを失いかねない単純なミス。選手らが凍り付くほど、快勝ムードを引き締めた。

 DF昌子も「名指しでみんなの前で真っ先にビシッと怒られたのは初めて。ズッシリきて、半泣きでした。ドゥドゥの場面は大丈夫だろうという慢心もあった。これでまた成長できると思います」と口を真一文字に結んだ。

 就任後7戦無敗は、6連勝発進した前任の石井監督を超えてクラブ初。首位C大阪に勝ち点1差と肉薄した。慢心を許さない大岩アントラーズの強さが際立つのは、ここからだ。【鎌田直秀】