浦和レッズの司令塔MF柏木陽介(29)が、技ありシュートでチームにリーグ戦4試合ぶりの勝利をもたらした。

 0-0で迎えた前半19分だった。中央でパスを受けた。左サイドでフリーになっていたMF菊池大介に視線を送りながら、正面の狭いエリアにいたFWラファエル・シルバへパスを供給した。「(相手の)食いつきを見ていた。重心が右に(菊池のほうに)傾いたので」。裏をかいた。

 パスを出すとそのまま走ってラファエル・シルバを追い抜き、ワンツーでペナルティーエリア内に進入した。相手DF2人がシュートブロックに寄せてきたが、「相手が止まったのでコースが見えた」と、左足でやわらかく浮かせたシュートを選択。わずかに前に出ていた相手GKが伸ばした手を越え、右サイドネットに吸い込まれた。「サイドか、中に入れるか、シュートという選択肢だった。落ち着いてプレーできた」。パス、そしてシュートと、的確な状況判断が華麗なゴールを生んだ。「体調が悪かった」と途中交代したが、高い技術を見せた。

 これにはヴァンフォーレ甲府の吉田達磨監督も賛辞を送るしかなかった。「シーズンの失点には、スーパーゴールが何度かある。その1つに入ると思う」と脱帽。「彼の技術と創造性をたたえるしかない。あれを目の当たりにして、自分たちの自信がそがれてしまった。差を見せつけられたゴールだった」と認めた。

 柏木はこれでリーグ2戦連発。チームのシュート数が4本と少ない中で、堀孝史監督に就任2戦目で白星をプレゼントした。試合後は「(前節の)大宮戦よりも反省点は多いと思う。リーグ戦は(優勝は)正直厳しい差はあるが、ACLやルヴァン杯、天皇杯もある」と冷静だった。【岡崎悠利】