名門・清水東サッカー部でコーチを務めていた長沢和明氏(59)が退任することが8日、分かった。今月4日の全国高校サッカー選手権県大会準々決勝敗退後にコーチを退く意思を固め、この日までに選手にも報告したという。

 女優長沢まさみ(30)の父で同校OBの長沢氏は、15年4月にコーチ就任。J1磐田初代監督や常葉大浜松監督を歴任した経験を生かし、母校の再建を目指した。練習から指揮を執り、熱心な指導で選手を育成。ボールをつなぐ攻撃的スタイルでチームを立て直し、今年6月の県総体では決勝に進出。優勝した静岡学園に敗れ、25年ぶりの全国出場を逃したものの、名門復活への足がかりを作った。

 長沢氏は指導した3年間を振り返り「優勝できなかったが、復活への手応えはありました。選手には本当ありがとうという思いです」。今後は知人が運営するNPO法人浜松フットボールアカデミーで指導者を続けるという。主に中学生以下の子どもたちを指導する予定で「この年代を見るのは初めてだが、すごく楽しみにしています」と話した。なお、清水東は渡辺勝己監督(42)のもとで新チームが始動している。

 ◆長沢和明(ながさわ・かずあき)1958年(昭33)2月4日、静岡県清水市(現静岡市)生まれ。80年ヤマハ発動機(現磐田)入り。日本代表では国際Aマッチ9試合出場。現役引退後は指導者に転向し、92年にJ1磐田初代監督に就任。その後はJFLのホンダFCやソニー仙台の監督を歴任し、01年秋から常葉大橘高監督を務め、05年度全国選手権出場。08年1月から常葉大浜松を指揮した。家族は夫人と1男1女。