「中部対西部」の構図となった準決勝は、中部の名門2チームに軍配が上がった。清水桜が丘が3-1で浜名に快勝。MF白井海斗主将(3年)が2得点で、チームを2年ぶりの決勝に導いた。静岡学園は、延長戦の末に1-0で浜松開誠館を振り切った。FW塩浜遼(2年)が鮮やかな決勝ゴールを挙げ、同校初の県内3冠に王手をかけた。決勝は、18日にエコパスタジアムで行われる。

 ピッチの主役は、やはり清水桜が丘の8番だった。1-0の前半35分、同校のエース番号を背負う白井が、ドリブル突破からPKを獲得。自らボールをセットし、冷静にゴール左隅へ追加点を決めた。決勝Tでは初得点で、両手を広げて駆け寄る仲間の輪に飛び込んだ。「(PKを)蹴る準備をしてきたし、迷いはなかった。決められて良かったです」。

 「三度目の正直」だった。白井は、今大会だけでPKを2度失敗していたことでキッカー辞退も考えたが、「みんなが『蹴れ』と言ってくれたので」と思い直した。日々の全体練習後、10本を集中して蹴り込み、準決勝に備える姿を仲間は見ていた。大滝雅良監督(66)も「海斗に練習量で勝てる子はいない。海斗が外して負けたのなら、それはしょうがないこと」と信頼していた。

 勢いに乗ったエースの右足は、勝負どころでも輝きを放った。2-1の後半34分、相手のクリアボールに反応。右足を振り抜いてゴールネットを揺らした。「クリアが浅かった。抑えて打つことだけを考えました」。同21分に1点差にされていたが、追う浜名の心を打ち砕く一撃だった。

 決勝の相手は、王者静岡学園。白井は「点も取れて、プレッシャーも取れた。相手は格上。チャレンジャー精神を忘れず、楽しんで絶対に勝ちたいと思います」と笑顔を見せた。勝てば、13年に清水桜が丘(清水商と庵原は統合)が開校して以来、初の全国選手権出場が決まる。頼れるエースが大一番を前に、確かな自信を取り戻した。【前田和哉】