ジェフユナイテッド千葉DF近藤直也主将(34)は、終盤の7連勝でプレーオフにたどり着いたものの、名古屋グランパスに逆転で敗れ「シーズンを通して力を発揮できなかったところが、昇格できなかったところなのかな、という気がします」と現実を真摯(しんし)に受け止めた。

 前半ロスタイムにFWラリベイ(33)のゴールで先制したが、後半16分、自らのクリアが名古屋MF田口泰士(26)の手に当たった。明らかにハンドだったが主審は流し、そのまま同点弾を決められた。“神の手弾”について聞かれ「審判の判断が絶対なので僕らは何も言えない」と答えた。集まった取材陣が、さらに詳細を聞くと、詳しい状況を語った。

 近藤 (審判がハンドを)認めちゃいましたからね。それが少し悔しいですけど。「手に当たったのは見えている」と言っていたので、何で取らないのかは疑問でしたけど。今となってはしょうがない…何を言っても。

 その後、立て続けに3失点し敗退したことについて“神の手弾”でリズムが崩れたのでは? と聞かれたが「流れが、そこからズルズルいった…そこが僕らの精神的な弱さなのかなと思います」と、自分たちの精神面に問題があったとして、言い訳はしなかった。「前半から結構、バタバタして今季でいったら1番、出来が良くなかったくらいの内容。何とか点が取れて、後半も落ち着かず…」と千葉らしい攻撃サッカーが出来なかったことも認めた。

 この日はアウェー席が2500席も売れ、アウェー席以外にも千葉のサポーターが陣取っていた。敗戦後は涙する選手も少なくなかったが、あいさつをして去る背中越しに大声援を浴びた。近藤は「本当に、僕らの力になりました。負けている時も、最後まで大きな声援で選手を後押ししていただき、本当にありがとうございました。僕らが望む結果ではなかったですけど、最後に選手とサポーターが一緒になって戦えたのが、僕らの収穫なのかなと思います」とサポーターに心の底から感謝した。

 最終節まで7連勝し、プレーオフに滑り込んだ“ミラクルジェフ特急”はこの日、ストップした。でも今季、就任したファン・エスナイデル監督が大改革を断行し食生活、食事の仕方からトレーニング、サッカーまで、全てと言っていいほどクラブは変わり、Jリーグの歴史に残る大逆転劇が生まれた。近藤は「僕らはシーズン途中まで安定感はなかったですけど、やることを変えずに、監督も全くブレず、やり通したことで最後に勢いが付いたかなと。最後にサポーターにいい形を見せられたので…それは少し、少しですけど、ホッとしたというか、良かったなという気がしています」と口にして、スタジアムを後にした。【村上幸将】