1年でJ1復帰を果たした名古屋グランパスの主将FW佐藤寿人(35)が喜びに浸った。先発で53分間プレー。前半に頭を打ってしまい、悔しさを持ちながら、仲間に後を託して交代した。

 「J1に復帰させないといけない覚悟だった。自分が(ゴールを)決めて昇格させたかったけど、とりあえずうれしい」

 今季、広島から加入。広島ではJ1で3度の優勝に貢献した功労者が思い切った決断を下し、新天地・名古屋のJ1昇格に尽力した。

 「単身赴任から始まって、大きな決断だった。途中から家族も来てくれて。息子や家族にも決断させてしまった。ここからが本当のスタートだけど、決断して良かったと思う」

 風間監督のもと、毎日が刺激的だった。佐藤にとって広島で築き上げてきたサッカー観が覆された。「毎日の練習が本当におもしろくて。小さいタッチやパスで全てが変わってくる。みんなが吸収する形で向き合えば、もっと良くなると思う。限界値を設けずにもっともっとうまくなりたい。もっとうまくなりたいんですよ」。まるでサッカー少年のような無邪気な笑顔。純粋にサッカーを楽しんで高みを目指すのも、しっかりとした目標があるからだ。

 「今日の喜びは、J1で優勝する喜びに比べたら違う。J1優勝は僕、タマさん(玉田)、ナラさん(楢崎)しか知らない。これからはそういう(J1優勝を目指せる)チームを作っていかないといけない」

 佐藤からすれば、まだJ1に昇格しただけ。ここから勝てるチームへ成長させるため、そしてJ1優勝の光景を再び見るため、主将として引っ張っていく。