ジュビロ磐田MF中村俊輔(39)特別インタビュー連載「今もシュン(旬)」の第2回では、自身のプレーを語った。昨季を振り返り、磐田加入2年目の今季をイメージ。その上で示した、選手としての理想像とは…。

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 昨季、中村は30試合5得点8アシストだった。チーム総得点は50。半数以上の27点がセットプレー(PKを含む)からだった。キッカーとしても、6位躍進の原動力になった背番号10。だが、今季開幕を前に危機感を抱いていた。

 「アシストが気になるね。ほぼセットプレーからで、流れの中からのスルーパスがなかった。FWとの距離が遠すぎたり、自分のパスを受ける位置が低くて(流れの中からの)アシストが減っていた。FWの近くで待つ時と、ゲームを作るために下がる時。その流れを読む目が課題だった。今年はゴールに直結するプレーを増やしたいね」

 昨季は、右サイドでの出場機会が多かった。この位置から見た景色で、気付いたことがあった。

 「自分があまりボールに関わってないけど、チームが機能している。そういう時は、あまり出しゃばらない方がいいなと思った。関わり続けたら、常に相手に見られてつぶされやすい。チーム全体を見たら、アダ(イウトン)、川又(堅碁)、たまに自分という攻撃バランスの方が(相手の)フィルターにかかりにくい。周りの仲間に助けられながら、(ボールが)来たときには『やるぞ』という感覚は勉強になったね」

 新たな感覚をもとに、今季へのイメージを膨らませた。行き着いた先は、やはりトップ下の位置に近いピッチ中央でのプレーだった。

 「右サイドで得られた感覚を持った上でなら、もう少し中央でプレーできるかなと思う。周りをもっと生かせるイメージもあるし、挑戦したいね」

 今季への思いを語るなかで、自身の幼少期も振り返った。言葉の数々は、選手として抱く理想像へとつながった。

 「よくおやじが(試合の)ビデオを撮っていた。それが恥ずかしくて嫌だったけど、一緒にその映像を見ていると、自分で自分のことが『うまい!』って思う時があった。その快感が今でも忘れられないのかな。究極は自分が自分のプレーで『おっ』と思える満足感があること。それがあれば(現役を)続けていくのかな? と思う。その感覚が今年はもっと増えればいいし、周りに『やっぱり、うまいな』と思ってもらえるようなプレーをしていきたいね」

 正確なパス、シュート、FKなど「うまさ」は、誰の目から見ても衰え知らず。それでも、本人はさらなる進化を目指している。【前田和哉】

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 明日19日の「今もシュン(旬)」第3回では、加入2年目の磐田に抱くワクワク感などを語っている。