川崎フロンターレに復帰したFW大久保嘉人(35)が、心身ともにリフレッシュして新シーズンを迎える。前年リーグ覇者の川崎Fはきょう10日、富士ゼロックス・スーパー杯で天皇杯覇者のセレッソ大阪と対戦する。今季にかける思いは強く、昨年末から11日間の断食を敢行。体の毒素をすべて出し切り、体も心も整えた。新シーズンの幕開けとともにまずは1冠へ-。全力でタイトルに貢献する覚悟だ。

 帰ってきた大久保は、加入後の初タイトルへ熱い思いを口にした。「(加入して)早く取りたい思いはある。このチャンスがいきなり来ますからね。こんなラッキーなことはないですよ」。相手は昨年11月のルヴァン杯決勝で敗れたC大阪で「おれはいなかったけど、チームはリベンジ」と闘志を燃やした。

 今季にかける思いは強い。大相撲の横綱白鵬が断食で肉体改造し優勝した話を聞き、昨年12月22日から今年の元日まで11日間、断食に挑戦した。2日間の準備食期間を経て断食へ。口にしていいのは、水と酵素ドリンク、1日1個の梅干しだった。自宅で家族がクリスマスのごちそうをほおばり、心が折れそうになるも「せっかくやるなら覚悟を持ってやらないと意味がない」。大好物の殻付きの生がきが届いても耐え抜いた。

 次第に体も慣れ、宿便など体内にたまっていた老廃物がどっさり出たという。最後の4日間はおかゆなど消化のいい回復食で過ごし完走し「毒素が出る出る。全部悪いものが出て行った気がした。体が軽くなった」。断食終了直後の体重は3キロ減。顔も精悍(せいかん)になり目の輝きも増していた。

 身も心もリフレッシュして臨むシーズンが幕を開ける。13日はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)・上海上港(中国)の試合も控え、今回は途中出場の可能性が高い。「どういう状況でも出たら、違いを生み出すプレーをしたい。得点も狙っているし、そのほかやることはいっぱいある」。前線の選手層は厚く、競争も激しくなるが「競争もあるけど協力。全タイトルを狙うなら、全員で戦わないと」と見据える。新背番号「4」の“川崎の嘉人”は、今季最初の公式戦で優勝カップをつかむことを誓っている。【岩田千代巳】