サッカー元日本代表DFの柱谷哲二氏(53)が、花巻東高校(岩手)サッカー部のテクニカルアドバイザーに就任することが2月28日、分かった。近日中に就任会見が行われる見込み。JFLヴァンラーレ八戸で監督を務めていたが、昨季で退任していた。冬の全国高校サッカー選手権初出場、同校初のJリーガー育成を視野に入れて強化を進める。

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 元日本代表DFで、複数のJクラブで指揮を執っていた柱谷氏が花巻東サッカー部のテクニカルアドバイザーに就任する。月間の半分以上を指導に費やす見込みで、目標は1年目からの選手権初出場だ。現在、岩手代表は遠野が5年連続で出場している。昨秋の岩手大会で2勝を挙げたが、選手権優勝の経験がある強豪盛岡商に3回戦で敗戦。昨夏の全国高校総体予選でも県8強で敗れていた。

 岩手随一の強豪と呼ばれる野球部に続く。今春のセンバツを決めており、春夏通算11度の甲子園出場を誇る。OBには西武菊池雄星(26)やエンゼルス大谷翔平(23)がいる。サッカー部は野球部が使う紫のアンダーシャツと同じ色のユニホームを使用している。柱谷氏の指導で既存の選手を鍛え上げ、同校初のJリーガー輩出も視野に入れる。

 元Jリーガーが高校サッカーの指導に携わるのは珍しくない。17年度の選手権では4人の「元J」が監督として指揮を執った。だが、Jクラブで采配経験のある元日本代表経験者が高校サッカー部の指導に従事するのは、非常に珍しい。過去には、68年のメキシコ五輪で銅メダルを獲得した元日本代表の松本育夫氏(76)が知られている。99年に川崎Fで監督としてタクトを振り、02年には地球環境(長野)の監督に就任。わずか着任7カ月で選手権に導いた例がある。監督とテクニカルアドバイザーの立場は違うが、1つの目指すべき形ではある。

 柱谷氏はJリーグ創設初年度の92年から東京Vでプレーし、チームを激しく鼓舞する姿から「闘将」と呼ばれた。日本代表としてはオフト監督時代にW杯初出場を逃した「ドーハの悲劇」を経験。98年に現役引退後は指導者に転身し、J1札幌や同東京V、J2水戸、J3鳥取の指揮官を歴任。09年には千葉の暁星国際高サッカー部のテクニカルアドバイザーを務めたこともある。