帝京長岡が2年ぶり6回目の全国選手権出場を決めた。北越に4-1で圧勝した。1-1で追いついた後半に爆発。同3分にMF中島颯太(3年)のゴールで勝ち越すと、DF吉田晴稀(2年)が同8分と32分に連続でゴールを決めて突き放した。決勝までの4試合32得点の攻撃力を、緊張を強いられるゲームでも披露した。全国大会は12月30日に関東圏で開幕する。

攻撃のギアがトップに、後半一気に切り替わった。帝京長岡は前半、決定機を外し続けて得点はオウンゴールの1点だけ。ところが、持ち前の攻撃力は折り返し後に爆発した。導火線に火を付けたのは満身創痍(そうい)のMF中島だった。10月21日の4回戦(対新潟南)で左太もも肉離れに見舞われ、左足甲はアップ中に痛みを感じる状態。そんな故障の爆弾を抱えながら後半3分、勝ち越し弾を右足で決めた。MF谷内田哲平(2年)のパスをワントラップしてマーカーを振り切る「技あり」ゴールだった。

「思い通りだった。チームを助けられたと思う」。イメージ通りの勝ち越しシュートを決めた中島は、2試合連続の決勝ゴールでチームを助けた。日本文理との準決勝でも、勝利の立役者になっていた。途中出場して、2-2からのロスタイムにヘディングゴールだ。古沢徹監督(33)は「ケガをしていたので準々決勝、準決勝は短い時間に抑え、決勝では万全でいけるようにした」と中島の起用法を明かした。

全国高校総体(インターハイ)は、県総体決勝で新潟明訓に1-1のPK3-4で敗れ出場を逃した。手痛い敗戦からチームは、一体感を身に付けた。夏休みには、2泊3日で学校に泊まり込む異例の全員合宿。A、B両チームの部員80人が絆を深めた。決勝前夜にはメンバー外の3年生が製作した約20分の「モチベーションビデオ」観賞会を開催。過去の全国大会や、先輩のMF小塚和季(24=甲府)らのコメントを編集した映像を見て奮起した。決勝は、お家芸のショートパスをつないで崩していくサッカーに立ち戻って快勝。「選手たちをたたえたい」と話した古沢監督は「(高校)日本一を狙う」と勝者の顔から、挑戦者の顔になった。【涌井幹雄】