サッカー元日本代表GKでJ3SC相模原の川口能活(43)が14日、相模原市役所で引退会見を行った。テレビカメラ30台、63社から約130人の報道陣が集まる中、川口は涙をこらえながら引退に至る思いを吐露した。今後は指導者を目指す。引退セレモニーが行われる12月2日のホーム最終戦(対鹿児島ユナイテッドFC)の前売りは完売で、自由席に若干の余裕がある中、クラブ史上初の観客1万人突破の期待がかかる。

ひたむきに、ただひたすらにファイトしてきた川口から、聞く者の心に刺さる言葉が発せられた。1時間、思いの丈を出し切った川口の言葉は、再び震えた。花束を丁寧に卓上に置き正面を見る。

川口 川口能活はこの1年、2年(が本当の姿)なんです。代表やJ1の川口能活は過去のものです。その僕のためだけに、これだけ集まっていただいて…。これまでプレーしてきて、最高にうれしい日です。

プロ生活25年。海外クラブを知り、代表ではワールドカップ(W杯)に4度。96年アトランタ・オリンピック(五輪)ではベベット、ロベカル擁するブラジルを倒した。トップ・オブ・トップの実績を持つが、9月2日のガイナーレ鳥取戦(0●7)を最後に、11試合出番はない。J3で試合に出られない自分を、本当の姿として受け入れた。

川口 実はこの1、2年くらいはプレーか引退かのはざまで揺れていました。ロシアW杯での日本の戦い、各カテゴリー代表を見て、日本は世界で戦える、日本のサッカーになってきていると。違う形で貢献したいと覚悟を決めました。

残り3試合での出場は不透明。だが、ホーム最終戦は最後の勇姿の可能性がある。「出場確定はありません。最後までプロとしてやるべきことを全うしたい」。胸の内をさらけ出し、拍手に包まれ、余韻を残して会見は終わった。【井上真】

◆川口能活(かわぐち・よしかつ)1975年(昭50)8月15日、静岡県富士市生まれ。富士市立天間小3年でサッカーを始め、同4年からGK。東海大一中2年で全日本ジュニアユース優勝。清水商(現清水桜が丘)では1年から正GKとなり、主将の3年時に高校選手権優勝。94年に横浜マリノス入り。日本代表で国際Aマッチ通算116試合出場は歴代3位タイで、GKでは最多。180センチ、78キロ。