浦和レッズが鹿島アントラーズを1-0で破り、3大会ぶりの決勝進出を決めた。前半、DFマウリシオ(26)が右CKから決勝ヘッド。68歳の誕生日だったオズワルド・オリベイラ監督に、就任後初タイトルに王手をかけさせた。9日の決勝(埼玉)で浦和は12大会ぶり7度目の優勝を狙う。

新旧アジア王者対決を、浦和が制した。序盤から鹿島に押し込まれたが、前半27分の初好機をつかむ。MF柏木の右CKに、飛び込んだのはマウリシオ。韓国代表DFチョン・スンヒョンのマークを外し、頭でたたき込んだ。今大会のチーム得点王となる3点目。「チームのために血を流す覚悟だった」という1発を守り抜き、中立地ながら実質敵地で勝った。

この日68歳になったオリベイラ監督が、かつて6冠を獲得した古巣で燃えた。9年前の同日は鹿島を率いてJ1最終節を迎え、浦和を破り、前人未到のリーグ3連覇を達成。記念日に立場を入れ替え「ビッグクラブ同士の対決にふさわしい」一戦を制するために“オズの魔法”をかけていた。今月1日のリーグ最終節はマウリシオを含む5人を温存。前日は原則非公開の練習を開放し、約350人の声援と83枚の横断幕に鼓舞された。その時、ファンを身内と信じて公開したのがセットプレー。気持ちひとつに精度を高め、CKで分析通りのファーサイドを突き、決勝弾をもぎ取った。

後半27分までに興梠、武藤、青木が痛め「43年の指導人生で初の負傷3人交代」と、オリベイラ監督も驚くアクシデントもあったが、終了間際にゴールラインから宇賀神がボールをかき出すなど、粘り強かった。3大会ぶりの決勝進出。試合後には興梠が指揮官の顔に誕生日ケーキを押しつけて雰囲気は最高潮に達した。

百戦錬磨の名将に率いられ、12大会ぶりの優勝へ、あと1勝。決勝は「前日練習でサポーターから『待ってる』と言われた」(DF槙野)というホーム埼玉で戦える。浦和が平成最後の天皇杯制覇、ACL出場に王手をかけた。【木下淳】