岡山学芸館MF永田一真主将(3年)がハットトリックの大活躍で、2度目の出場となったチームに初勝利をもたらした。

チームの先制点からわずか1分後の前半11分だった。自陣からのカウンター攻撃、60メートル以上を疾走した。ゴール前まで走り込みMF上山からのパスを受けると、相手DFを鋭い切り返しで左へかわし、左足シュートを決めた。

2-0で迎えた後半10分にはMF鶴海のパスをゴール前で受けると、相手DFをターンでかわし、右足でゴール。強さと巧みな体づかいでゴール前の狭い局面を攻略し、冷静な判断が光るゴールだった。

さらに後半30分、右サイドのDF伊藤からのクロスボールをニアサイド、頭で合わせた。ファーサイドへすらした絶妙なヘディングシュートは、相手DFに当たりながらもゴールへ飛び込んだ。

華々しい3ゴールで、チームも4-0という大勝。永田は「学芸館の歴史に1勝を刻むことができた。(ハットトリックは)貴重な経験でした。得点を意識してプレーしたので(ゴールへ)強引に向かいました。よかったです」と喜んだ。

岡山学芸館は2年前の全国選手権に初出場し、初戦で山梨学院大付に0-1と敗れた。その試合に途中出場した永田は悔しさを味わっており、今大会の1勝にかける思いは誰よりも強かった。この日は寒風が吹く中、チームでただ一人半袖のユニホームでプレーした。2年前に定位置を争った先輩選手の影響を受けたそうで、一年を通じて半袖ユニホームしか着ない。

この日もピッチを誰よりも駆け回り、攻撃はもちろん守備でも相手カウンターに最終ラインまでボールを追いかけ、奪う場面もあった。熱さ満点のプレーを披露。主将という立場だが「僕は頑固で起用なタイプじゃない。主将らしくない」。その分、誰よりも頑張る姿を周囲に見せ、背中でチームを引っ張った。

高原良明監督も「(永田は)誰よりも今大会へかける強い思いを持っている。ハットトリックはすばらしい結果になった」と祝福。そして指揮官は、ベスト8という目標を持つチームにあって「いい勝ち方で次につながると思います」と、確かな手応えをつかんだ。

永田は175センチと大柄ではないが、迫力あるボディーコンタクトとゴール前で見せる冷静さは、1960~70年代に「爆撃機」と恐れられた西ドイツ代表のエースストライカー、ゲルト・ミュラーさながら。中1日で迎える2回戦の仙台育英戦へ「最高の年越しになります」。大黒柱が君臨する岡山学芸館は、台風の目となりそうな勢いだ。【佐藤隆志】