常盤木学園(東北1位・宮城)が日ノ本学園(関西2位・兵庫)に2-1で逆転勝ちし準決勝進出を決めた。前半2分に先制される苦しい展開も、後半12分にエースFW中村恵実(3年)が強烈なミドルシュートをたたき込み同点。同23分には途中出場のMF津田真凜(3年)が決め、過去3回優勝の難敵を振り切った。今日7日の準決勝で十文字(関東2位・東京)と対戦する。

追い込まれた状況で、常盤木のエースが1チャンスをものにした。0-1で迎えた後半12分だった。FW安沢莉子(3年)がセンターサークル付近から右サイドのスペースにパス。絶妙なタイミングで飛び出したFW中村がペナルティーエリア手前で追いつくと、相手DFを置き去りにしダイレクトで右足を振り抜いた。「トラップしようか迷ったけどスピードに乗っていたのでそのまま打ちました」。なでしこ1部長野パルセイロ入りするストライカーの値千金ミドル弾でチームは息を吹き返し、同23分には中村が相手と競ったこぼれ球をMF津田が決めた。

開始わずか2分で先制を許す厳しい試合を、土壇場でひっくり返してみせた。阿部由晴監督(56)は「中村はずっとためていたのをようやく出せたね」と大一番で真価を発揮したエースをたたえた。日ノ本学園とは昨年8月の全国総体決勝で対戦し、中村は2ゴールを決め優勝に貢献。今大会は2試合ノーゴールも「自分が決めるとかより、チームが勝てばいい」と1トップで体を張る献身的なプレーを続けてきた。それでも劇的ゴールにはバンザイし、喜びを爆発させた。

常盤木学園のブロックには強豪がひしめく。初戦で前回優勝の藤枝順心、この日は常盤木学園の17に次ぐ高校タイトル11個の「西の横綱」を撃破した。準決勝の相手は一昨年優勝の十文字だ。全国総体1回戦では後半アディショナルタイムの2ゴールで逆転。「あの時はあの時。相手も成長している。厳しい試合になる。今日みたいに全員で最後まで諦めないでやりたい」と中村は気を引き締める。12年から始まった全国総体を本年度ようやく制覇し、初の高校2大タイトルがかかる。「また常盤木が真の女王になれれば。今は消えかかっているので」(中村)。昨年の1回戦敗退の屈辱から立ち上がった名門が、常勝軍団復活に向けて突き進む。【野上伸悟】