J2アルビレックス新潟が11日、今季初のチーム練習を聖籠町のクラブハウス練習場で行い、本格的に始動した。シンガポールプレミアリーグ・新潟Sから移籍し、08年以来11年ぶりに新潟のユニホームを着るGK野沢洋輔(39)は、さっそくボールを使ったメニューでグラウンドの感触を味わった。03年のJ1昇格を知るチーム最年長の“レジェンド”。J1復帰のため、要としてチームをけん引する。

久しぶりに新潟のジャージーを着用しての練習が、野沢を奮い立たせた。「シンガポールでは半袖、短パンで練習していた。ジャージーは動きにくかった」と苦笑い。15年から4年間、新潟Sでプレー。冬の新潟との気候の違いは大きい。「その割には体は動いていたかな」と好感触も得た。

大谷幸輝(29)田口潤人(22)、ルーキーの藤田和輝(17)のGK陣に交じって、ジェルソンGKコーチ(47)がけり出すボールに反応する。00年から08年の前回新潟所属時も指導を受けたジェルソン・コーチのメニューに「相変わらず厳しい」と苦笑い。合間にはGK陣に声をかけ、和ませる。片渕浩一郎監督(43)は「緊張感の中にもリラックスした雰囲気をつくってくれる」と信頼を寄せた。

前日10日のチームミーティングでは、あいさつ時に新潟の伝統の一端を話した。ブラジル人選手が、日本人選手以上に日本人らしく献身的にチームに貢献し、ルーキーががむしゃらに汗を流す。そしてチームが一体になる。「新潟はそうやって愛されるチームになった歴史がある」。

清水から移籍して2年目の01年、当時21歳の野沢はJ2の全44試合にフル出場。正GKになった。肌で感じた新潟のカラーを、現メンバーに最初のメッセージとして送った。今年40歳になるチーム最年長選手が、J1復帰、チーム再建の要になる自覚をみせた。

この日は練習後、新潟県庁、新潟市役所を表敬訪問。“新潟の顔”としての務めも果たした。「開幕スタメン目指して新たな野沢を見せたい」。強い意志の下、1歩を踏み出した。【斎藤慎一郎】