昨夏のインターハイを制し、全国2冠を狙った常盤木学園(宮城・東北1位)だったが、星槎国際湘南(神奈川・関東3位)に0-1で敗れてしまった。前半23分、相手の直接FKが先制ゴールとなり、劣勢に立たされる。その後、反撃に転じ猛攻を仕掛けるも、相手の粘り強い守備を最後まで崩せなかった。同校初となる夏冬2冠と、6大会ぶり6度目の優勝は、手に届かなかった。

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試合終了のホイッスルが鳴り響いた瞬間、常盤木イレブンはピッチにひざまずいた。あと1勝に迫っていた悲願の夏冬2冠が、たった一撃で夢と消えた。前半23分、約30メートルの弾丸FKを決められてしまう。センターバックで守備を統率してきたDF大河内友貴(3年)は「悔しいしかないです。優勝しなきゃ意味がなかった。自分がファウルを与えていなければFKもなかった」と号泣した。

11日の練習中にMF津田真凜(3年)が左ひざ靱帯(じんたい)を痛め離脱するアクシデントがあった。この日は松葉づえをつきスタッフとしてベンチに入り。ベンチには津田の7番のユニホームを飾った。「真凜に金メダルをかけてあげる」と全員で誓い合って臨んだ戦い。先制された後は、必死に相手陣内に攻め込んだ。MF沖野るせり(2年)は右サイドを疾走し、中央へセンタリングを上げチャンスメーク。前線も、ミドルレンジで相手GKを脅かす。しかし、相手の堅い守備を最後まで崩すことができないまま。相手を上回る9本のシュートは空砲に終わった。

2012年から競技に加わった全国総体を、昨夏初めて制した。夏冬2冠で「常勝」常盤木学園復活を証明したかった。今井佑香主将(3年)は「サッカーは強いチームが必ず勝つわけじゃない。何が起きるかわからない。後輩たちには勝ちきれるようになってほしい」と夢を託した。新チームの中心となるMF沖野は「そう簡単には勝たせてもらえない。来年は今年も思いを全てぶつけて、絶対に優勝したい」と涙で雪辱を誓っていた。【野上伸悟】