明桜(秋田)が1-0でふたば未来学園(福島)を下し、聖和学園(宮城1位)との準決勝にコマを進めた。全国高校選手権で8強入りした秋田商MF伊藤拓(3年)の妹、FW伊藤優奈(2年)が前半23分に決勝ゴール。野球の金足農、男子サッカーの秋田商に続き、今年は女子サッカーでも秋田旋風を巻き起こすつもりだ。

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全国の大舞台で活躍した兄に続けとばかり、貴重なゴールを決めた。前半23分、明桜FW中川茉利恵(1年)のシュートがこぼれたところに、伊藤が反応した。「茉利恵の頑張りで奪ったゴール。私は触っただけ」と後輩を立てる謙虚さを見せたが、今大会にかける意気込みは人一倍強かった。

兄の拓が秋田商の背番号8をつけ、全国高校選手権に出場。昨年大みそかの1回戦、千葉・フクダ電子アリーナで行われた四日市中央工(三重)戦に駆けつけた。夢の舞台で躍動する兄を客席から見て、興奮を抑えきれなかった。2回戦で富山一、3回戦で龍谷(佐賀)を撃破。優勝した青森山田、4強の尚志(福島)とともに東北旋風を巻き起こした。伊藤は「本当にすごい。格好良かった。今年こそ自分も全国に出たいと本当に思いました」と大きすぎる刺激を受け、闘志に火が付いた。

兄2人に憧れ、小2から本庄南SSSでサッカーを始めた。西目サッカー部だった長兄の輝さん(21)は県大会決勝で敗退。1歳違いの次兄拓とは、幼い頃から暇さえあれば1対1で勝負してきた。おかげで当たり負けしない強さが自然と身についた。「最後まで走り切るところもすごい。自分もそうなりたい」とずっと背中を追いかけてきた。

明桜は16年の全日本高校選手権を最後に、東北の壁を破れていない。12月に就任した菊池祐太監督(34)は「今までは宮城のレベルにたどりつけず全国出場権の3位狙いだったけど、そういうのはもうやめてハードルを高くしていきたい」と強化に本腰を入れる。木皿幸太コーチ(26)も「やるからには勝つつもりで来た」と聖和学園相手にも真っ向勝負で挑む。伊藤は「気持ちでは絶対に負けないようにしたい」と兄から引き継いだ秋田魂を胸に、全国トップクラスの強豪に挑む。【野上伸悟】