昨季のなでしこリーグ戦、同カップ戦、皇后杯の3冠を達成した日テレベレーザが22日、東京・稲城市内で今季初練習を行った。

今年元日の皇后杯決勝からわずか約3週間のオフで早くも始動日を迎えたが、選手たちは終始明るくパス回しやミニゲームで約2時間、汗を流した。

昨季はリーグ戦で4連覇、そして3冠獲得と他を寄せつけない圧倒的な実力を示したシーズンとなった。DF岩清水梓(32)は「いよいよ始まるんだなという気持ち。練習も活気良くできた」と振り返った。今季はリーグ史上初の5連覇へと挑むシーズンとなる。当然、他クラブからのマークもきつくなるが「研究されようが、苦しいシーンが出てこようが、相手が追いつこうとしている力以上に上積みをしていきたい」と力を込めた。

昨季は全18試合に出場し、リーグ新記録となる13年連続13回目のベストイレブンに選出されるという前人未到の大記録も打ち立てた。下部組織時代も含めベレーザ一筋でプレーして今年で20年目を迎えるが、けがによる大きな離脱などもなく、長くチームの最終ラインを支えてきた。「昨季までは本当に自分の中でも若干モチベーションを高く持っていたところがあったので、その先はわからない」と苦笑いも浮かべつつ「(現役を)続けている以上は、そうやって評価されたらうれしいところはある。チームでの競争もある中で、試合に出ることが多いのであれば、また(ベストイレブンを)とれたらうれしいですよね」と意気込んだ。

絶対王者に死角はない。岩清水や、なでしこジャパンで10番を背負うMF阪口夢穂(31)らベテラン組に加え、チームにはアンダー世代から日本代表に名を連ねてきた実力ある若手がズラリと並ぶ。今季も昨年8月に行われたU-20W杯フランス大会の初優勝メンバーであるMF遠藤純(18)らが新たに加わった。

チーム内の競争は激しく、3冠を達成した状況にも、選手からはさらに上を目指す強い気持ちがうかがえた。チームは昨季から就任した永田雅人監督(45)のもとでボールポゼッションを高めながらスペースを突いて攻める新たな戦術に取り組んでいる最中にある。14年U-17W杯コスタリカ大会の優勝を経験し、今ではA代表の主力にも定着したMF長谷川唯(21)が「まだまだ永田さんのサッカーは完成ではないと思うし、自分たちの理想はもっと上でした」と言えば、昨季3年連続の得点王とリーグMVPに輝いたFW田中美南(24)も「未完成の中での3冠だった。誰も納得していないと思うし、ひとつでも上にいきたい」と頼もしい。

19年は、なでしこにとってはワールドカップ(W杯)イヤーでもある。31日にスタートする今年初の代表合宿には、日テレから28人中12人が選出された。日本中になでしこフィーバーを巻き起こした11年ドイツ大会の優勝を知る岩清水は「今の若い子たちはアンダー世代からいろんな経験をしているし、技術的には自分らの頃よりもうまい。女子サッカーの盛り上がりに貢献してほしい」。19年はどんな年になるのか。なでしこに数々のスターを送り出してきた名門ベレーザの1年がまた始まった。