自身初の開幕スタメンで5年連続の開幕Vを勝ち取る。J1仙台のGKシュミット・ダニエル(27)が、23日に開幕を迎えるホーム浦和戦で、代表仕込みのシュートストップで封じ込める。22日は仙台市紫山サッカー場で最終調整。初の開幕スタメン出場が濃厚となっているが、気負いなく開幕準備を完了した。1月のアジア杯(UAE)で念願の代表戦初出場を初勝利で飾った守護神が、居並ぶミドルシューターを封じて、チームを5年連続の開幕戦勝利に導く。

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代表を経験して一回り大きくなった守護神は、初の開幕スタメン出場にも気負いはない。感情の起伏を抑え、平常心を貫きゴールを守り抜く。

シュミット 開幕戦だからといって特別な意識は持ってない。気負いすぎず、冷静に戦いたい。うまくいかない時間帯もあると思いますが、開幕で勝てばチームが勢いに乗れるので、代表での経験を生かしながら勝利に貢献したい。とにかくシュートを止めること。

昨季の雪辱を期す格好の舞台でもある。18年シーズンで最も悔いが残る失点が、昨年9月のアウェー横浜戦でDF山中亮輔(25)に決められたミドルシュートだという。打たれた瞬間、止められると判断しパンチングではじこうとしたが、ゴールを許してしまった。開幕戦の相手となる浦和には、横浜から移籍した山中が左ウイングバックに入ることが濃厚。右に入るのは、同12月の天皇杯決勝で試合を決めるスーパーミドル弾をたたき込まれたMF宇賀神友弥(30)だ。

シュミット 山中選手のところは特に意識はしてますけど、(浦和の選手は)みんなミドルシュートがうまい。同じように集中して、来たらシュートを止めたい。

昨季終了直後から自主トレに明け暮れ、年明けから日本代表としてアジア杯のUAE遠征に参加と、休む間もなくシーズンに突入する。初めて体感する強行日程だったが不安はない。渡辺晋監督(45)は「試合勘でいったら、ダン(シュミット)はUAEでものすごいタフな公式戦を戦ってきている。現状では練習試合しかやっていない他の26人と比べると、ゲームに対するベクトルは彼が一番向いていると思う」と期待を寄せた。

堅実なリスクマネジメントは私生活にも表れる。高級なドイツ車に乗る選手が圧倒的に多い中、愛車は国産の四駆車。理由は「ローンを組みたくないから」。日本代表守護神が自然体を崩さず、堅実に開幕戦のゴールを守り抜く。【下田雄一】

◆シュミット・ダニエル 1992年2月3日生まれ、米イリノイ州出身。父が米国人で母が日本人。2歳で来日し、小2のときに八幡スポーツ少年団でサッカーを始める。仙台スポーツシューレFC、東北学院中高を経て中大に進学し、全日本大学選抜に選出された。14年に仙台入り。熊本、松本への期限付き移籍を経て17年に復帰。昨年8月、森保ジャパンの初代メンバーに選出されて初代表。同11月16日のキリン杯ベネズエラ戦で代表デビュー。J1通算38試合出場。197センチ、88キロ。