ブラインドサッカー女子の国際親善試合・さいたま市ノーマライゼーション杯が23日、サイデン化学アリーナで行われ、日本代表が10-0で国際視覚障害者スポーツ連盟(IBSA)世界選抜に圧勝した。エースの菊島宙(そら、16=埼玉T.Wings)が1人で9ゴールを挙げ、大会MVPに輝いた。

背番号10を背負う“ブラサカ界の澤穂希”の存在感は圧倒的だった。前半6、9、13分、後半は9、10、12、18、19、20分にゴール。右足で8点、左足で1点。試合時間は20分ハーフで、前後半とも途中で1度はベンチに下がりながらトリプルハット達成だった。「目標は3点だったけど9点は満足。ただ、もっと前半に点を取りたかったな」と菊島は無邪気に笑った。

ドリブルスピード、柔らかいボールタッチ、巧みな切り返しは「天才」と評されるが、最近はGKとの駆け引きまで意識するようになって決定力がアップした。昨年の大会ではアルゼンチン選抜戦で6ゴール。所属クラブでは男子に交じってプレーするが、昨秋の東日本リーグでは1試合7ゴールを記録している。

女子は世界的にも競技人口が少なく、相手の世界選抜は先週都内で開催されたIBSA主催のキャンプに参加した10カ国27選手の中から結成された。それでも9ゴールは驚き。菊島は言った。「自己新記録。もっとうまくなりたいです」。【小堀泰男】

◆菊島宙(きくしま・そら)2002年(平14)5月23日、東京都青梅市生まれ。先天性両眼視神経低形成のため視力は左0・05、右0・02。小2でサッカー、小5でブラインドサッカーを始める。小6で埼玉T.Wings加入。17年のIBSA女子トーナメント(ウイーン)で日本代表を優勝に導き、大会得点王。昨年のノーマライゼーション杯は6ゴールでMVP。都立八王子盲学校高等部1年生。153センチ、62キロ。