オーストラリアAリーグの強豪メルボルン・ビクトリーMF本田圭佑(32)が11日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)1次リーグ第2戦アウェー広島戦(12日、Eスタ)に向けた前日会見に出席した。

本田は穏やかな笑顔も浮かべながら話した。「変な感じはあります。日本代表として日本でプレーすることはありましたけど、日本人の僕が、オーストラリアのチームで試合をする」。本田がクラブの一員として日本で試合をするのは名古屋でプレーして以来、12年ぶりのこと。今回は日本勢と対峙(たいじ)する存在になった。「不思議な感じもしますし、楽しみです」と話した。

この日で、東日本大震災から8年がたった。自身のツイッターでもメッセージを発した本田は「まだ傷が癒えていない方にも、スポーツという側面からですが、少しでもいい影響を与えられたら選手冥利(みょうり)に尽きます」と被災地への思いを口にした。

そして試合が行われる広島は平和の象徴の地。9日にチーム便で帰国した際には原爆ドームや資料館にも訪れた。場所も日にちも、日本人が困難に立ち向かうことを考えるタイミングだった。「試合をするために日本に帰ってきましたけど、いい意味で考えさせられる訪問になっている。ACLに感謝したいです」と、はっきりとした声で語った。

チームでは中盤に入ってプレーすることが多い。「たまに帰ってくる日本なので。気持ちを少し上乗せしてプレーしたい」。12日の1戦に向かう本田には、1人でも多くの人に勇気を与えるという使命もある。