世界ランク9位の日本が、同4位のスペインを撃破する金星を挙げた。

0-0で迎えた後半9分、ボールを奪った主将の川村怜(30)が右サイドからドリブル突破。ゴール前でDF2人を振り切って、左足で決勝ゴールを決めた。守備でも開幕2試合で7得点を量産したスペインの攻撃を、無失点に抑え、1-0で勝利を収めた。

引き分けでも1次リーグ突破が決まる状況だったが「引き分けは考えずに勝ちに行こうと、本気で戦いを挑んだ。ボールを奪ったとき“縦が空いている”という監督の声が聞こえた。なかなかシュートを蹴らせてもらえない中、横から持ち込んで狙い通り」と川村は値千金のゴールを振り返った。エースらしく少ないチャンスをしっかりとものにした。

スペインとは過去1勝7敗(PK戦含む)。07年8月に1-0で勝利を収めて以来、6連敗中だった。「スペインのFWをどう抑えるか、昨夜はスタッフが徹夜でスカウティング(分析)した」(高田敏志監督)という。守備の要の田中章仁(40)を中心に、190センチ近い巨漢選手たちをサイドに押し込んで、突進にブレーキをかけた。

参加8カ国で1次リーグ2組という大会形式はパラリンピックと同じで、来年の東京大会の試金石ともいえる。祝日のこの日はチケットが完売して会場は超満員。「これだけの環境でできる幸せを感じている。すべて席が埋まっているのを見て涙が出た」と高田監督。来年の本番の雰囲気も感じることができた。

1次リーグA組1位突破を決めたことで、準決勝はB組2位で世界ランク12位のイングランドと対戦する。「まだ何も成し遂げていない。準決勝、決勝と人とボールが動く日本のサッカーで最高の試合をする」と田中。この日の金星で選手たちには「20年東京大会でメダル獲得」という高い目標が、ぐっと近くに見えるようになったようだ。