FC東京MF久保建英(17)に、待望の今季リーグ戦初ゴールが生まれた。

ホームのジュビロ磐田戦で後半39分に決勝ゴール。左CKからのこぼれ球に反応し、左足ダイレクトで決めて1-0での勝利の立役者となった。チームは公式戦3試合ぶりの得点。令和に入って公式戦初勝利でリーグ戦11戦負けなし、同時にJ1通算250勝も達成した。

自分に厳しい久保建らしい言葉だった。「今日くらいは(自分を)許してもいいかなと思います」。後半39分の決勝点はよく覚えていない。全体を通して「自分はあまりよくなかった」という反省が残っていた。1-0の決勝点を決めたことで及第点。「自分は結果が出ればいいというタイプではない。もっと早い時間に決められれば」。手放しで喜ぶことのない17歳の姿が頼もしかった。

瞬時の反応が光った。DF太田の左CKに対する磐田のクリアは、ペナルティーエリア内での高いルーズボールに。ゴール前にごった返す選手がボールを見上げる中、後方にいた久保はすぐに前へポジションを変え、準備を整えた。落ちてきたボールがDFの頭に当たってこぼれたところで勝負あり。誰よりも早く走り込んだのが久保だった。今季から意識的に取り組んでいる、オフ・ザ・ボールの動き。自身がCKを蹴らないときは、こぼれ球に備えることを体が覚えている。「(シュートの)狙いはなかった」。無意識の中で体が反応した。

すべては、長谷川監督も「チームでトップクラス」と評価するシュート技術があってこそ。「コンパクトに、空気抵抗を受けないよう、浮かせないことを意識した」と、高く浮いたボールに左足をダイレクトで合わせた。好セーブを連発した磐田GKカミンスキーも「自分もボールに1番近い距離で手を伸ばした。コースが良かった」と舌を巻く1発だった。

この日は「TT兄弟」のネタで知られるお笑い芸人チョコレートプラネットがゲストで来場していた。偶然にも自身の名前のイニシャルはT。試合後には照れ笑いを浮かべながら一緒にTT兄弟を披露し、17歳らしい一面ものぞかせた。直近の公式戦2試合では無得点が続いたが、ふたたびチームを上昇気流に乗せるゴール。これで開幕からリーグ11戦無敗。「このまま無敗で、いつまでもキープできるように」と、言葉に力を込めた。【岡崎悠利】