頼れる助っ人が完全復活した。清水エスパルスは4-3で仙台との打ち合いを制した。FWドウグラス(31)がヘディングで2得点。開幕前に不整脈の治療などで長期離脱したブラジル人助っ人が今季初の2試合連続ゴールを奪った。チームも5戦ぶりの白星で、篠田善之新監督(47)就任後リーグ戦初勝利。順位も最下位から暫定15位に浮上した。

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最高気温31・5度の真夏日にも負けない熱気だった。3-3で迎えた後半44分。FWドウグラスはゴールへの道筋が見えていた。「アイコンタクトがあった。前に入れたことが全て」。目が合ったFW北川航也(22)のクロスに飛び込むと、DFよりも一瞬早く頭を出した。首をひねりながら放ったシュートは左サイドネットへ。両チーム計7ゴールが生まれた激闘に決着をつけたエースは手荒い祝福の中で満面の笑みを浮かべた。

反撃のスイッチを入れたのもドウグラスだった。前半2分、CKからあっさり失点。重苦しい雰囲気が漂った直後の5分、目の覚める一発をぶち込んだ。MF金子翔太(24)の右クロスを打点の高いヘディングで合わせて同点。ゴールに吸い込まれたボールを自ら拾い、チームメートを鼓舞するしぐさを見せた。

「今日はみんなのために戦いたかった」。今季は始動直後に不整脈が発覚。母国ブラジルに一時帰国して治療したが、回復の兆しは見えなかった。開幕前の2月には中国2部・長春亜泰から正式オファーを受け、移籍に気持ちが揺らいだ。それでも、残留を決断。復帰への心の支えになっていたチームメートやサポーターからの励ましの声に「感謝の気持ちしかない」と振り返った。

直近のリーグ戦は、2戦3発。昨年7月の加入後、15試合で11得点を挙げた本来の姿に戻りつつある。状態は「100%に近いよ」とドウグラス。篠田新監督にささげるリーグ戦初勝利でチームも暫定ながら15位に浮上した。頼れる助っ人が、巻き返しへの道しるべを示した。【神谷亮磨】