ベガルタ仙台がクラブ新記録のリーグ戦ホーム6連勝を達成した。前半9分、DFシマオ・マテのヘディング弾で先制。その後追いつかれたが、後半19分にMF関口訓充(33)が2戦連発となる決勝ゴールを決めた。5位札幌に2-1で勝利し、これで6月も負けなしの4連勝で10位に浮上。最高の形で前半戦を締めくくった。

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マテが強烈なヘディング弾をたたき込んだ。1度目のCKはヒットせず、すぐに2度目のチャンスが訪れる。前半9分、DF永戸が正確なボールを送ると、中央で相手のマークを振り切り、ドンピシャで合わせた。これが14試合ぶりのゴール。さらに、守備でも職人ぶりを発揮する。GKシュミットがペナルティーエリアを飛び出し、札幌MF鈴木に抜け出される危ない場面を作られたが、すぐに危険を察知し、見事なカバーで失点を防ぐ。攻守のヒーローは「チーム全体として守備意識が高かった。毎試合同じ集中力でやりたい」と手応えをにじませた。

後半に入ると膠着(こうちゃく)状態が続く。しかし、同19分に歓喜の瞬間が訪れた。右サイドからMF道渕のクロスを、相手GKがはじく。左サイドに大きく流れたこぼれ球に関口が反応。無人のゴールへ、鮮やかなミドル弾を決めてみせた。前節23日の得点で余裕が生まれ「ボールだけに集中し、相手の足が届かないところに力を抜いて蹴れた」。今後、浦和や鹿島など厳しい相手との試合が控えるが「簡単なミスが多い。相手に隙を突かれないように締まったチームにしたい」と力を込める。

渡辺監督は「ルヴァン杯で敗退した悔しさ、名古屋に勝利した自信をポジティブなエネルギーに変えられた」と総括し、関口のゴールは「流し込んだのも素晴らしい技術」とたたえた。

今季の仙台は天皇杯決勝で敗れた浦和に開幕戦で引き分け、上々のスタートを切ったが、初勝利は第6節と時間がかかり、一時は最下位にまで落ち込んだ。それでも、6月は4連勝し上昇気流に乗り前半を終えた。3日に天皇杯FC大阪戦、6日にはリーグ戦で浦和と戦う。真っ赤に染まる敵地では、今なお未勝利だが、今の仙台には勢いがある、新しい歴史を作るのも、決して夢物語ではない。【山田愛斗】