オーストリア1部・ラピッド・ウィーンへの移籍が決定的となっているJ1清水エスパルスFW北川航也(23)が28日、涙の決意表明を行った。静岡市内で行われた「激励会」に出席。

集まったファンを前に登壇すると、込み上げる思いを抑えきれなかった。「エスパルスには感謝の気持ちしかありません」。ジュニアユース時代も含めて約11年。あいさつで何度も“清水愛”を強調した23歳の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。

下部組織出身者の欧州移籍はクラブ史上初となる。清水にとっても北川はクラブの顔ともいえる存在。契約はメディカルチェックを経て行うため、現在も正式発表はできていないが、本人の強い希望とクラブの思いが合致し、急きょ「激励会」を行うことになった。同イベント開催の発表は前日27日の午後6時過ぎ。突然の告知にもこの日は約1500人のファンが集まり、熱いエールを送った。

北川は「あらためて愛されているんだと感じた」。シーズン途中での移籍も、正式オファーを受けると即決したという。海外挑戦への思いは、昨年10月の日本代表初選出後、より強くなったといい「今、勝負したい。結果を出すことがクラブへの恩返しだと思う」と活躍を誓った。

29日には渡欧し、正式契約を結ぶ予定だ。北川の最終目標は日本代表としてW杯に出場し、結果を残すこと。「できるだけ長くヨーロッパで活躍したい。納得して帰ってくる時は、必ずこのクラブ。それは間違いない」と、成長して“復帰”することも約束した。清水を愛し、愛された若きエースが、感謝の思いを胸に海を渡る。【神谷亮磨】