北海道コンサドーレ札幌が、クラブ史上初のベスト4進出を決めた。

広島との第2戦を1-1で引き分け、1勝1分けで準々決勝を突破した。前半9分にMFアンデルソン・ロペス(25)のゴールで先制し、後半4分に追いつかれたが最後まで逆転は許さなかった。就任2年目のミハイロ・ペトロビッチ監督(61)は、クラブ史にまた新たなページを刻んだ。

   ◇   ◇   ◇

昨季からクラブが掲げるスローガンの1つが「新しい景色を見に行こう」。この日、札幌にとってまた新たな景色が目の前に広がった。誕生から25年目。ついに準決勝の舞台に立つ権利を手にした。先制点を決めたロペスは「ホッとしている。チーム全体が最後まで走った結果」と、笑顔を見せた。「リーグ戦でなぜ自分を使わなかったんだと思わせるようなアピールがしたい」と意気込んでいたブラジル人助っ人は、今季の同杯最多6ゴール目で体現した。

引き分け以上で勝ち上がる条件は、あらゆる戦い方の選択肢があった。それでも、ペトロビッチ監督は試合前、選手たちに「点を取りに行きなさい」と、消極的な戦いを禁じた。結果的にドローに終わったが、0-0ではなく1-1。「点を取って次に進めたので良しとしましょう」とうなずいた。

指揮官には札幌を成長させるために実践するポリシーがある。この日はボランチにMF荒野、深井が入り、DF宮沢をリベロで使った。「いつも考えているのは、若くて質の高い北海道出身の選手を同時に使いたいということ。3人同時に使うことが、今日だけではなく、その先の札幌の未来につながると考えた」。昨季はリーグ戦をクラブ史上J1最高の4位で終えた。そして迎えた2年目の今季。まずはルヴァン杯で4強を決め「いいチームを、ある程度作れているのは監督としてうれしい」と笑みを浮かべた。

1次リーグ、プレーオフを勝ち上がった4チームと今季アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場4チームが激突する準々決勝。札幌は前者、広島は後者だった。昨季リーグ最終節でACL出場権をかけて直接対決し、涙をのんだ相手でもある。古巣にリベンジを果たしたロペスは「ここまで来たら、決勝に行ってチャンピオンになりたい」と、早くも準決勝を見据えていた。【保坂果那】