北海道コンサドーレ札幌はベガルタ仙台に敗れ、5試合ぶりの黒星を喫した。ホームでの敗戦は10試合ぶり。MF荒野拓馬(26)が0-1の後半5分、鮮やかなミドルシュートでJ1初ゴールをマークし、一時同点に追いつくも、セットプレーによる2失点で屈した。ルヴァン杯準々決勝による過密日程や、主力の各国代表招集によるコンディション調整不足も響いた。順位は7位をキープした。

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仙台に完敗した札幌に、荒野の1発は希望となった。J1で初めてゴールを決めた。仲間からの祝福を受けながら、ミハイロ・ペトロビッチ監督(61)のもとへ走った。ハイタッチで出迎えられると、胸に飛び込み、両手で強く抱きしめた。「自分が良くない時も根気強く使ってくれた。ミシャのために取ったゴール」と感謝の思いがあふれた。

無我夢中に右足を振り抜いた結果が、スーパーゴールとなった。歓喜の瞬間を「正直あまり覚えていない」と振り返る。後半開始直後、相手との接触で頭部を強打したせいだった。しばらく立ち上がれないほどの激痛も、同3分に「やられたのでやり返してやるって気持ちでいった」とプレーを再開すると、同5分にMFチャナティップのパスに反応し、ペナルティーエリア手前からの豪快なシュートでネットに突き刺した。

地元札幌出身で下部組織育ちのプロ8年目。高校2年時の10年にリーグ戦(当時J2)デビューを果たし、クラブ最年少出場記録(17歳6カ月4日)を持つ。U-22日本代表の経験もあり、チームの中心選手に成長した26歳も、プロ1年目を含むJ1通算4シーズン目で足りなかったのは得点だけだった。「今年の方が去年より前に上がっていく回数が増え、いつかは決まるだろうと思いながらやっていた」と焦らず信じ、その時を待ち続けていた。

今季加入したFW鈴木は同い年でアンダー世代からの付き合い。今年、先にA代表入りしたのが発奮材料となっている。「もちろん自分も目指してるし、札幌でプレーしていたらチャンスはある」とひそかにライバル心を燃やす。「自分の世代が中心となって試合をできているので、もっと自分たちが引っ張っていけるように」と自覚もたっぷり。「チームの勝利に関われるプレーをできたら」と、今度は決勝弾が目標だ。【保坂果那】