J1湘南ベルマーレは29日、ホームBMWスタジアムで行われる清水エスパルス戦前に平塚市内でサポーター向けの臨時クラブカンファレンスを開催し、真壁潔会長と水谷尚人社長が、曹貴裁監督による選手、スタッフらへのパワハラ疑惑についての現状報告を行った。

8月13日に同騒動にともなって曹監督が活動自粛することを発表し、約1カ月半。Jリーグによる調査結果と裁定の有無についての連絡を待つ状況が続く中、真壁会長は「(サポーターにも)知っている人とそうでない人がいる」と、冒頭にあらためて騒動の経緯について説明した。曹監督については、Jリーグから調査結果の報告が届くまでは活動自粛を継続することも明言。報告を受け次第、指揮官も交えて会見を行う考えがあることも明かした。

カンファレンスでは今後の対策や、現場を離れている曹監督の近況についても説明。今後の再発防止策としては、選手やスタッフへ弁護士を通じて意見を聞く場を設けたことを明かした。真壁会長によると、個人の特定を防ぐため「非常に抽象的なレポートとして、中間報告は戻ってきています」といい「これをベースに再発防止、チームとしてどうしていくのかという対応を、すでに進めております」と話した。このほか、強化部の独立性などを保つためのスタッフの増員や、新たな相談窓口の設置を検討していることも明かした。今回の件をめぐっては、7月中旬に日本サッカー協会が設置する暴力等根絶相談窓口に匿名の連絡が届いたことからJリーグが調査へと動いた背景もある。真壁会長は「まずは(クラブに)相談してほしいが、残念ながらできないということで、いくつかの窓口を用意しようと思います。弁護士やメンタリストなど複数の窓口にすべきではないかと考えています」と説明。クラブの選手、スタッフに対する徹底したハラスメント研修の必要性についても口にした。

真壁会長は曹監督の近況について、精神的な疲れは感じられるものの「元気ですし、『人として頑張らなければいけない』という話もしています」と明かした。質疑応答ではサポーターの男性が「やはり曹貴裁監督に指揮してもらいたいとみなさん思っているのですか?」と問いかけると、集まった約750人のサポーターから大きな拍手が巻き起こる場面もあった。ほぼ全ての質問に回答した真壁会長は「みなさんが作ったクラブがこの窮地をしのいで、(騒動以前の)8月11日に戻れるように頑張っていきたいと思います」と締めくくった。

同カンファレンスはクラブとサポーターの意見交換の場として04年から年3回定期的に行われているもので、臨時での開催はこの日が初めて。同騒動については、曹監督が活動自粛した8月13日から4日後の同17日に開催された定期クラブカンファレンスでも説明がなされており、真壁会長らがサポーターへ騒動を謝罪していた。

また、Jリーグは9月24日に村井満チェアマンが初めて公式コメントを発表。「今は弁護士の方で分析をしている渦中と認識していますので、早ければ今月中にも何らかの方針をいただける可能性が高いかなと思っています」などと話し、湘南への裁定の有無についての発表は10月上旬になる見方を示していた。