興国が2-0で阪南大高を破り、悲願の初優勝を飾った。FW杉浦力斗とMF樺山諒乃介(ともに2年)のU-17日本代表候補が後半に連続得点。Jリーガー予備軍を多く抱えたタレント軍団が、就任14年目の内野智章監督(40)とともに頂点に立った。OBの神戸FW古橋亨梧(24)も日本代表に初選出されたばかりで、今冬は興国旋風の予感だ。全国大会は12月30日から関東圏で開催される。

前半こそ押し込まれた興国だが、終わってみれば完勝で悲願の全国切符をつかんだ。内野監督が「選手に感謝しかない」と言えば、主将のMF田路は「苦しい時間帯を全員で耐えられたから」と勝因を語った。

過去例のないほど2年生のレベルが高い。決勝は7人が先発。得点した杉浦と樺山はU-17日本代表候補だった。決定機を防ぎ続けたGK田川は、既に横浜やC大阪の練習に参加。超高校級守護神は「あまり重圧に感じずに戦えた」と胸を張った。

3年生も田路とDF高安はJ2金沢入りが内定。MF芝山はピッチ内外でマネジメント能力を発揮し、内野監督の考えを選手に橋渡しした。2年生を3年生がまとめ上げた。

興国はボクシングの世界王者井岡一翔を輩出するなど運動部が盛ん。サッカーでは日本代表のエース南野も卒業生だが、部には在籍せずC大阪下部組織でプレーしていた。

サッカー部は知名度の低さから「全国選手権の出場は部と学校の悲願だった」(内野監督)。直前の今月6日には日本代表に部のOB古橋が初選出されたばかり。「選出の報告が電話であった。実に謙虚な選手」と広津部長。古橋は「アスリートアドバンス」という文武両道コースに在籍。中大に合格し、代表にも上り詰めた先輩の朗報に盛り上がった。

田川は「やるからには日本一を狙いたい」と全国での目標を掲げた。勢いに乗る興国が旋風が巻き起こしそうだ。【横田和幸】

◆興国 大阪市天王寺区にある私立男子校。1926年(大15)に興国商業学校として創立、61年現校名に。野球部は68年夏の甲子園で初出場初優勝。主なOBには元阪神エース湯舟敏郎、プロレスラーで大阪・和泉市議スペル・デルフィンら。サッカー部員は約270人。