ヴィッセル神戸の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(35)が、今夏の東京オリンピック(五輪)に24歳以上のオーバーエージ(年齢制限外=OA)枠で出場する可能性が出てきた。地元紙「スポルト」の電子版が29日に報じたもので、同国五輪代表フエンテ監督が最初の大枠リストに入れたという。

3人まで招集可能なOAには、自ら五輪出場を希望するDFピケ(32=バルセロナ)とDFセルヒオラモス(33=レアル・マドリード)の2人に、MFシルバ(34=マンチェスター・シティー)の計4人が入った。

イニエスタは30日、神戸が26日から行っている沖縄・読谷村キャンプで紅白戦に出場。この日の重慶(中国1部)との練習試合が中止となり、今季はいまだ対外試合に出場していないが、軽快な動きで何度も球をゴール前に運んだ。練習後はコメントをしなかった。

ドイツ人の神戸フィンク監督は「五輪へ送り出すのは話し合いが必要だ。大切な選手なので、クラブを優先してほしい思いが強い」と事実上の難色を示し、三浦スポーツダイレクターも「本人が出たいと言えば、監督を含めてクラブとして快く出せるかを話し合わないといけない」と慎重な態度だった。

神戸は今季、2月8日の横浜F・マリノスとの富士ゼロックス・スーパー杯を皮切りに50試合前後の公式戦が控えており、仮にイニエスタを五輪に派遣すれば、ACLやJ1に悪影響を及ぼす可能性が高い。

スペインは昨年7月のU-21欧州選手権で優勝し、東京五輪の出場権を獲得。母国バルセロナ開催の92年以来、2度目の金メダル獲得を目指す。今回の五輪候補リストは3月にさらに絞られ、イニエスタがその時点でも残った場合、神戸とスペインで激しい綱引きが始まる。【横田和幸】