国内のサッカーシーズン到来を告げる一戦で、天皇杯覇者のヴィッセル神戸が初優勝した。昨季J1王者の横浜F・マリノスとの接戦で、3-3からのPK戦を3-2で制した。PK戦では両チーム合わせて9人連続失敗という珍事もあった。賞金は神戸が3000万円、横浜が2000万円を手にした。神戸は主将のMFイニエスタを軸に攻め、常に先行した。

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わずか1カ月半前に天皇杯を掲げた神戸の主将は、今度は新たな優勝杯を手にした。

「横浜に難しい試合を余儀なくされたが、いいプレーができた。今年は素晴らしいシーズンになると思う」。ACL、J1、ルヴァン杯、天皇杯の今季5冠獲得を公約していたイニエスタは、最初の公式戦を制し満面の笑みを見せた。

直前のPK戦は主将でさえ頭を抱えた。横浜の3人目から神戸を含めて9人連続で失敗。神戸7人目のMF山口がケリをつけ、騒然となる場内では歓喜よりは安堵(あんど)の輪が広がった。

PK戦は1人目で成功させていたイニエスタは、取材に応じる前に「ふっー」とひと呼吸して苦笑いした。「自分が決めてホッとしていたが、クレージーな展開になった。PKはどう転ぶか分からない、バクチみたいなもの。横浜も外し続け、うちが好機を手にした。(GK飯倉)大樹もよく止めてくれた」。直前の円陣では、主将が日本語で「行くぞ」と叫び、仲間の士気を高めていた。

これで昨季終盤から年またぎの公式戦6連勝だ。前線からのハイプレスは一定の成果を収め、守護神飯倉ら守備陣は奇跡的な守備を連発させた。J1王者を倒し、次は中3日で最大の目標のACL初戦に臨む。【横田和幸】