なでしこリーグ・新潟レディース(L)の元FWで、昨季限りで引退した大石沙弥香氏(34)が下部組織の新潟L・U-18、U-15のコーチとして再出発している。

なでしこリーグで16年間プレーし、うち新潟Lには11年間在籍。後進の育成をクラブへの恩返しと位置付け、第2の人生を歩む。

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スタッフ用の黒のジャージーには、もうなじんだ。大石コーチは2月1日付で就任。11日にはU-15の2時間の練習を初めて1人で仕切った。テーマ設定をはじめ、前日からメニューを考えた。「難しいですね、教えるのは」と苦笑い。それでも「カテゴリーが下だからと、求めるレベルを下げることはしない」。いずれはトップチームの戦力になってほしい人材。責任を感じている。

「少しでも新潟に恩返しできるのなら」と育成部門のコーチ就任を決断した。TASAKIが08年に休部し、09年に新潟Lに移籍した。ポストプレー、クロスへの飛び込みなど、体を張ってゴールを奪い、チームを鼓舞し続けた。「新潟で選手生活を終えようと思っていた」と愛着も湧いた。

昨季終了後に引退を決めた。10年に右ひざ、12年に左ひざの前十字靱帯(じんたい)を損傷。その影響で周辺が常に痛むようになった。何より若手FWの成長をうれしく思う自分に気付いた。「若手が育って自分が追い越されそうなことを、悔しいと思わなくなっていた」。納得しての引退だった。

指導者としても妥協はしない。「言われて何かをやるのではなく、自分で考えて行動できる選手、人間的にしっかりした選手を育てたい」。立場は変化しても、全力を尽くしてサッカーに向き合う姿勢に変わりはない。【斎藤慎一郎】

◆大石沙弥香(おおいし・さやか)1985年(昭60)4月5日生まれ、静岡県出身。桐陽高からTASAKIに加入。09年に新潟Lに移籍。同年、なでしこチャレンジプロジェクトの合宿メンバーに選出される。ポジションはFW。新潟での背番号は「8」。リーグ戦通算成績は218試合出場55得点。